【完全解説】学芸員になるには?社会人も学生もこれで分かる!現役学芸員が疑問を解決

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学芸員になるには

※すみません、2026年3月18日に大規模工事中!

学芸員になるには、大学などで学芸員資格を取得し、博物館や美術館の求人に応募して採用される必要があります。

しかし実際には、資格を取ったからといって学芸員として就職できるとは限りません。

学芸員就職は非常に狭き門であり、進路に悩む人も多いのが現実です。

この記事では、大学の選び方や大学院進学の考え方、採用試験の対策、求人の実情、社会人から目指す場合の課題など、「学芸員就職」に関する疑問をできるだけ具体的に解説します。

この記事を書いた人

現役学芸員のりん(@rinhwan_blog

  • 正規雇用の美術館学芸員
  • 公立美術館・私立美術館双方を経験
  • 西洋近代美術で修士号を取得

本サイトでは、学芸員を目指していた頃の自分が知りたかったこと等を紹介しています

中高校生から大学生・大学院生、既卒の社会人の方まで、あらゆる方を想定にした記事です。

筆者は美術館勤めですが、博物館やその他施設に共通する点も多々ありますので、参考になれば幸いです!

飛べる目次
  1. 学芸員になるには?まず知っておきたい結論
  2. 学芸員資格は必要?就職との関係も解説
  3. 学芸員の仕事内容
  4. 学芸員に向いている人・必要な能力
  5. 学生が学芸員になるには
  6. 大学院で何をすべきか|就職につながる過ごし方
  7. 学芸員就職は本当に難しい?求人・年収の現実
  8. 学芸員採用試験について
  9. 社会人から学芸員になるには
  10. 学芸員以外に美術館に関わる仕事はある?
  11. 学芸員になるには?重要ポイントまとめ

学芸員になるには?まず知っておきたい結論

学芸員とは

学芸員になる基本ルート

博物館学芸員になるための方法は決して1本道ではありません。

ですが基本の流れ(例)は、以下のような感じです

  • 学部在学中に博物館学芸員資格を取得する(学士号も取得する)
    → ※院進してからの取得は忙しくて詰む
  • 大学院に進学し、研究室で研究実績を積む
    →求人ではほぼ確実に「研究実績」の提出が必須
  • 1年生や2年生など時期は関係なく、とにかく学芸員募集に応募する
    →求人数が非常に少ないため、条件に合う募集があれば早い段階から積極的に応募する必要あり

本記事前半では、上記の主流に沿って学生の方向けに解説します。

中盤からは、1度一般企業に勤めてから学芸員を目指す既卒社会人の方向けに解説していきます。

よくある失敗パターン

学部生のうちに単位取得をしておかない(大学院にはいってから取得は大変)

需要画少ない研究分野を選んでしまう

査読付き論文や学会発表などに挑戦しない

関連バイトやインターンが手薄なまま就活に突入

学芸員になる=正解ではない

本サイトは、学芸員になることが正解!という趣旨のものではありません

家族との関係や経済的な問題もありますし、働き方はとても個人的なもの。

ましては就職が難しい職業となると、そもそも「目指すこと」のハードルが高いと思います。

ですので、

  • 学芸員を目指している方
  • 学芸員になろうか悩んでいる方
  • 学芸員以外の選択肢も考えたい方

と、様々な方に向けた記事を書いています。

私自身も「学芸員目指していて良いのだろうか」「もうやめよう」と考えた時期があります。

迷ったり、つまずいたりするのは当然のこと!

気軽に他記事も覗いていただけると嬉しいです。

学芸員資格は必要?就職との関係も解説

「学芸員になるには資格が必要」とよく言われますが、それだけで就職できるわけではありません。
実際には、資格の位置づけや評価のされ方を正しく理解していないと、遠回りになってしまうこともあります。

ここでは、学芸員資格がどの場面で必要になるのか、そして「資格だけでは役に立たない」と言われる理由について整理します。
あわせて、通信大学や学芸員補など、資格の取り方の選択肢についても触れていきます。

学芸員資格の取得方法(基本の流れ)

博物館学芸員資格の取得方法は以下の3通りです。

  1. 学士の学位を取得(大学・短大を卒業)、かつ文部科学省令の定める博物館に関する科目の単位を修得する。
  2. 大学・短大に2年以上在学し、博物館に関する科目の単位を含めた62単位以上を修得したうえで、3年以上学芸員補として働く。 » 学芸員補についてはこちらの記事で解説しています。
  3. 文部科学大臣が文部科学省令で定めるところにより、上記2点と同等以上の学力及び経験を有すると認めたもの(学芸員資格認定を合格したもの)。

多くの人が①の方法、つまり大学に通いながら資格取得のための単位を取る方法を選択します。

(3は、「学芸員資格認定試験」に合格する方法です。認定試験には筆記試験実務経験・業績の審査の2パターンがあります。詳細条件は文化庁HPにて確認してください。)

ただし学芸員資格だけでは学芸員にはなれない

多くの方がご存知の通り、資格だけでは学芸員になるのは非常に困難です。

形として見えやすいものだと、たとえばこんな感じです。

求められることが多いのは

  • (多くの場合)修士号以上の学位
  • 専門分野での研究実績
  • 西洋美術であれば英仏などの語学力
  • 博物館美術館での実務経験(インターンやアルバイトもOK)

学生でも取り組みやすい、学芸員志望におすすめのアルバイトなどは以下で紹介しています。

学芸員資格は役に立たない?よくある誤解

学芸員資格は、学芸員にならない人は持っていても仕方ないと言われます。

他の就活などで強いアピールになるような資格ではないことは事実です

なので、大学生で学芸員資格の授業を受けるか迷っている方は結構いるようですね。

個人的には「学芸員になろうか迷っている人はとっておいた方が良い」と思います。

理由は①取得自体は簡単 だけど②後になって研究と並行して取るのは大変だから です

私は学部生時代に一般企業就活し内定をもらった経験があるので、その時の所感を踏まえて「学芸員資格は他の就活にも役に立つのか?」を考えてみました。

学芸員を目指す人と、一般企業就活する人、それぞれにとってのメリットを紹介しているので、興味がある方は以下の記事をご覧ください。

学芸員の仕事内容

仕事内容の全体像

さて、学芸員に対して以下のような疑問を感じていませんか?

  • 学芸員ってどんなことをする人?
  • 具体的な仕事内容は?
  • 1日の業務は?
  • 博物館学芸員資格って?

分からないことがたくさん!

色々な疑問に答えるのでご安心ください

具体的な仕事内容や給与、1日の過ごし方、魅力や大変なところ等は以下よりどうぞ。

学芸員の一日と展覧会準備の実際

学芸員に向いている人・必要な能力

向いている人の特徴

社交的かつ気配り上手であり、フットワークが軽い人は学芸員に向いていると言えます

学芸員で一番必要な性格・資質は、社交的で「フッ軽」であること。

また、コミュニケーション能力やマルチタスク能力に加えて、高度な専門知識・文章力・語学力などの学問面での能力も求められます。

一方で、自分の専門以外に学問的情熱を向けられない人や、大勢の人の前で話すことに苦痛を感じる人は、学芸員に向いていないかもしれません。

あわせて読みたい

やりがいと大変さ

学芸員の魅力はなんといっても、情熱を注げることを仕事にできる、ということでしょう。

イチから展覧会を作り上げていく達成感とやりがいは、他では得られない喜びがあります

また、来館者アンケートで展示を褒められたり、展示室で「すごく良かった!」と声をかけてもらえると、仕事の励みにもなります。

作品の良さが伝わる瞬間が、やっぱり1番嬉しい

また、ある程度は仕事の中で調べ物をしたりもできるので、常に新しいことを吸収して勉強していきたい方には楽しいと思いますよ。

じゃあ、大変なところは?

雑芸員という揶揄は有名な話ですが、実際かなりのマルチタスク。常にたくさんの仕事を同時並行的に進めていく必要がある点は大変です

あとは、休日や家での時間返上で仕事をすることになる覚悟を。

休日に出勤したり、帰宅後に家で仕事の準備をするのはあるある。

展覧会の準備が間に合わなければ、日付が変わるまで展示室に残るなんてことも。

▼ 学芸員の魅力と大変なところをまとめました。

学生が学芸員になるには

この章では、大学選びから研究テーマ、インターンやアルバイト、語学力まで、学生のうちに意識しておきたいポイントを整理します。

専門分野や、バイトなどの経験は後悔しやすい部分。何から始めればいいか迷っている方は、ここを一つの目安にしてみてください。

大学選びのポイント

1番大切なのは「大学でどう過ごすか」ですが、大学選びにもポイントがあります。

学芸員になりたい方は、意識しておいて損はありません。

具体的には、以下のような点を心に留めておくと◎

こんな大学を選ぼう

  • 美術館が多く所在する都会にあり
  • 外国語学習にも力を入れていて
  • 学部・大学院に美術史専攻がある
  • +学芸員資格を取得できると◎

» 芸術・文学・表現を学べる大学一覧

それぞれの項目については、以下の記事でさらに詳しく解説しています。

細かい注意点も記載しているので気になる方は読んでみてください。

大学選びのポイント・注意点

専門分野・院進に向けた研究計画書

学芸員になるには、基本的に修士以上の学位が必須です。

大学院入学のために、入試(筆記+面接)を受験することになります。

その際に提出を求められるのが、

  • 卒業論文
  • 研究計画書
    ※大学院でどのような研究がしたいのか

これらは、面接試験のための材料にもされます

学部から美術史を専攻していた方は、すでに卒論準備などで研究していることや興味のあることをそのまま大学院でも研究する人が多いでしょう。

さらに同じ研究室のまま院進する場合には、卒論も研究計画書もその先生に見てもらえるので、特に問題はないはずです。

ちょっと不安なのは、美術史と関係ない学部にいる場合です。

美術と無関係の卒論

一応他学部の場合でも、自分次第で美術系に寄せることも可能。

まだ卒論の方向性を決める段階なら、美術と少しでも結び付けられないか考えてみましょう。

自分の卒論に対して何か美術史的な疑問が浮かばないか考えておくといいかもしれません。

院進の面接の際に教授に聞かれるかも!

なお研究計画書については、志望研究室によってある程度フォーマットが決まっていたりもします。

研究室を訪問して、院生の先輩に話を聞くのも良いでしょう。

緊張するかもしれませんが、本来気軽に訪問しても良い場所です。

ボランティア・インターン・アルバイト

小さいことでも積み重ねる

時間がある学部の頃にできるだけ様々な体験をしていきましょう

学部生の時点では、都内の有名博物館・美術館でのインターンやアルバイトはかなりハードルが高いと言えます。

経験を積ませてもらえるボランティア募集や比較的小規模の美術館でのアルバイトを積み上げましょう

▼ 美術館・博物館バイトが多い

タウンワーク

リクナビ派遣

また、求人サイトだけではなく、定期的に個別のホームページやSNSを確認する習慣が大切です。

@rinhwan_blog でも求人情報を流しています

美術館に限らずとも、美術に関係することに積極的に参加していきましょう。

私は画廊でボランティア、美術系の出版社で有償インターンをしていました。

その他にも色々やっていたので、詳しくは以下の記事をご覧ください。

学芸員資格に必要な科目の履修(学部生のうちにやるべき)

博物館学芸員資格を取得できる環境にある人は、必ず学部在学中に取得してしまいましょう

短期集中型や通信もありますから後になるともう取れないというわけではありませんが、どんどん忙しくなっていくので早めに!

ご自身の学部で取得コースがなくても、同大学の他学部、あるいは他大学でも申請すれば受講できる場合がありますから、調べてみてくださいね。

▼ 博物館学芸員資格を取得できる通信制大学をまとめています。

語学力

読み書きは当然、+話せることを目指す

個人的には語学はきっちりやっておいた方がいいと思っています。

私自身が学芸員として採用された理由のひとつに語学があり(後で館長から聞いた話)、他の受験者との差別化になったからです。

筆者の各テストスコアはTOEIC925点、TOEFL iBT105点(いずれも学部生時代、留学前のスコア)です。こちらの記事では、私が高校生の頃に実践していた英語学習ルーティーンやツールをまとめています。

実際に学芸員として就職した後も、英語力の必要性を感じています。

西洋美術専門の方なら、英語の読み書きはかなりできるかと思います。

でも、現場では英語が話せる人が足りていません。

英語が話せるとなると、採用試験の際に確実に強みになります。

英語を話せるようになれば、学芸員のキャリアに役立ちます

地方の公立美術館でも、海外のキュレーターとやりとりする機会は意外に多いです。

前提として、博物館・美術館の種類によって必要度は異なります。日本美術専門でも有名作品であれば海外に貸し出す機会は多いですから、大規模な有名館こそスピーキング能力の重要性は高まります。

学芸員を目指すなら

  • 英語を書く・読むは必須
  • 話せたら採用にかなり有利(差別化)←やるべき
  • 第2外国語は出来なくても採用には問題ないことが多い

筆者の各テストスコアはTOEIC925点、TOEFL iBT105点(いずれも学部生時代、留学前のスコア)です。こちらの記事では、私が高校生の頃に実践していた英語学習ルーティーンやツールをまとめています。無料でできることが多いので是非。

私自身は、面接の際に第二外国語については聞かれませんでした。

もちろん採用先の美術館によるので一概には言えませんが、中途半端に二外に手を出すなら、英語を極めた方がいいと思います。

大学院で何をすべきか|就職につながる過ごし方

修論・研究テーマの方向性を早い段階で固める

ご自身の研究テーマは早めに固めるようにしましょう。

理由は二つ。

  • 研究テーマ=就職先選択に関わるから
  • 一次資料は取り寄せに半年以上かかることも多々あるから

学芸員がおすすめする美術本|美術館がもっと楽しくなる名著」記事終盤でも触れているのですが、資料の取り寄せに半年以上かかることがあります。

もし修士2年で論文を仕上げようと思っているのなら、修士1年目に必要な海外資料を洗い出し取り寄せ依頼ができていると安心です。

研究室経由のアルバイトに挑戦する

大学院在学中に、学芸員補(学芸員のお手伝い)のアルバイトができると理想的です。

また、公募の学芸員補募集はかなり競争率が高いため、学生が学芸員補のアルバイトをするには教授の紹介を介すのが一般的

美術館との繋がりで、教授に紹介してもらえたらベスト

学芸員と大学教授は、長い付き合いがある場合も多いです。

私立美術館は、信頼できる教授の研究室から代々アルバイトをとっていることが多いです。

公立館は職員個人の裁量が(採用に関しては)制限されますし、そもそも予算の関係でアルバイトではなく、あってもインターンがほとんどかと。

学芸員になるには、研究室選びにも注意
学芸員バイトの機会がある研究室も

したがって、担当教授がどれだけアルバイトに積極的か、美術館と繋がりを持っているかは重要なポイントです。

かといって、美術館と繋がりはありますか?!なんて教授に直接は聞けない...

ひとつの見分け方は、教授自身が主催する研究会のパネラーや参加者などに現役の美術館関係者がいるかどうか

いる場合、定期的にお付き合いがある可能性も高く、院生でもその関係者と話す機会を得ることができます。

人手不足の場合、美術館側はまず優先的に研究室へ声をかけてくださることも多いです。

また、美術館学芸員の中には大学で授業を受け持っている人もいます。

その場合には、受講生に直接展示の手伝いをお願いすることもあります

▼ 学芸員補の応募条件や応募方法については以下の記事でまとめています。

論文や学会発表などで実績をつくる

研究分野によって難易度は変わりますが、論文や学会、学内の研究会などにも積極的に挑戦しましょう!

査読論文が難しければ、査読なしでも学内の学術誌など参加できるものに取り組むのも良いと思います。

学芸員採用の時に研究実績として何か書けるものがあると心強いです

美術界隈の旬な話題を追う

学芸員になるには、美術の最新情報を追う!
博物館・美術館の最新ニュースは常にチェック

最新の美術ニュースを追う、というのは最強の学芸員採用試験対策!

私の主な情報源は、アルバイト先の美術館に常に郵送されてくる新美術新聞やリリース、学芸員さんたちの会話でした。

そういう場に身を置いていると自然と情報が入ってきます 

大学院の研究室では、自分たちの研究の話が中心!

ニュースについてはあまり話題に上がっていなかったので、アルバイト先には助けられました。

研究資料を検索したり、ウェブ上で閲覧できる便利なデータベースを以下の記事に集めました。

普段から目を通しておくと安心です!

お役立ち美術系サイトまとめ

特に、Art Annual Onlineの【最新ニュース】欄はオススメ

例えば「美術の今—その行方— 我々はコロナ禍から何を得るのか」。 

このような記事に目を通しつつ自分の意見を積み上げていくことが、小論文記述対策で必要なことです。

 1つのトピックを読むにあたって、「自分だったらこう思う」を普段から意識するようにしましょう

解答用紙をめくった時に、その話題に対する立場決めに時間を割かずに済みます。

学芸員就職は本当に難しい?求人・年収の現実

求人が少ないと言われる理由

学芸員は食べていける?年収のリアル

学芸員は食べていけるのか

切実な疑問ですよね。

筆者は正規雇用の公務員を経験し、その後私立美術館へ移りましたが、学芸員の中でも給与面は恵まれている部類です。

当然ですが、給与は雇用形態(正規・非正規)と就職先(公立・私立・指定管理者制度を導入しているかなど)によってまちまち

詳しく知る

詳細は上記の記事で書いていますが、ここではおおまかな傾向をお話しします。

公務員としての正規雇用となれば(公立美術館の学芸員募集)、一般的な公務員のお給料をもらえますから給与も普通です。

普通の公務員と同じと思ってもらっていいです。待遇も整っていますし、比較的恵まれています。

一方で私立美術館の場合、給与はピンキリです。

そもそも中途の採用が多い印象があり、新卒採用だと難易度が高い傾向があります。

公立美術館勤めなら公務員の給与・待遇と基本同じ。私立美術館勤めはピンからキリまで

また、博物館・美術館はどこも人件費削減のために期限付き非正規雇用での募集が多いのが現状

そして非正規の職員として数年経験を積みながら、正規の学芸員を目指すと言う方はかなりの数います。

いわずもがな、非正規雇用の給与はかなり厳しいです。

コネは必要か

A. あるに越したことはないですが、コネがなくても学芸員にはなれます。

筆者の就職先は公立美術館ですし、直接斡旋してもらったわけではありません。(試験を受けることは誰にも言っていなかったので、教授も知りませんでした)

とはいえ、私自身が100%誰の助けも受けていないとは思っていません。間接的なご縁は色々あったと思います

とくに院生時代は、教授の紹介で学芸員補としてアルバイトをしていたので、採用試験の際に「実務経験」として職歴欄に書くことができました。

これが就職の際に役立ったと考えれば、完全にコネがないとは言えないかもしれません。

公立か私立かでコネの重要度は変わる

あなたが私立美術館希望でしたら、当然コネの重要度は自然と上がるでしょう

とはいえ、本当に学芸員になりたいのであれば、日本全国どこの美術館でも、公立でも私立でも、できる限り応募してください。

コネに直結する大学院選びについてはこちらで詳しく解説しているので、気になる方は是非チェックしてみてください

大学院進学はほぼ必須?学歴の現実

結論から言うと、大学院に行かずして学芸員就職することはかなり困難です。

そもそも募集条件が「院卒以上」のことが多いですし、「学部卒」が条件であっても応募者の大半は修士以上なので実質「修士以上」はほぼ必須条件と言えます。

博士まで行く必要はありませんが、修士課程は絶対だと思います。

修士号がないまま、社会人で資格のみとって学芸員を目指すというのは相当茨の道。大学生も院進は必須です。

とはいえ経験上、学部卒の学芸員はゼロではないです

ただし、わざわざ学部卒を雇う場合にはそれ相応の理由が必要です。院卒でなく採用される人は、何らかの形で既に他館で豊富な実務経験を経ている人が多いです。

私立美術館の運営財団側で働いていた人が美術館に配属になったり、館長直々に外部からヘッドハンティングしているのは見たことがあります。

いずれの場合も、自分の意思で、というよりは流れで学芸員に行き着いた人が多い印象ですね。

↓院進なしで学芸員になった方も多数掲載さてれいます。気になる方はどうぞ。

現役学芸員の声を見る

学芸員採用試験について

採用試験も美術館によって多種多様ですが、特に公立美術館の採用試験についてはある程度傾向を掴むことは可能です。

具体的な過去問や対策、基本的な問題形式については以下の記事で解説しているので、興味がある方は読んでみてください。

採用試験の詳細・対策について

採用試験の過去問は基本的に、各地方自治体のホームページから入手することが可能です

当時の私の場合もそうでしたし、現在もいくつか調べてみると、いずれも都道府県市町村のホームページなどに掲載されていました。

受験を決めた段階で受験先の問題を確認し、傾向を掴んでおきましょう。

1次試験である筆記試験は、【前半】公務員試験と【後半】美術専門知識の試験に分かれています。

公立美術館を受験する学芸員志望の方の心理的ハードルになるのが、公務員試験かもしれません。

公務員試験の勉強もしなきゃいけないの...?

と思われるかもしれません。

結論から言うと、学芸員採用の場合、美術専門知識の試験が圧倒的に比重が重いことが多いので、そんなに心配しなくて大丈夫です。

公立美術館に受かった周りの人たちも公務員試験はボロボロだったようです。

なので、公務員試験に対してあまり気負いする必要はないと思います

少なくとも、公務員試験の本を買って勉強して...なんて考えなくてOKです。

美術専門知識の試験の内容は、美術史用語の解説と、最新の美術関連のニュースに対する論述でした。

以下の記事では過去問も載せながら解説していますので、気になる方は読んでみてください。

採用試験の詳細・対策について

社会人から学芸員になるには

社会人の方が「美術館(博物館)学芸員で食べていく」ことを目指す場合に向き合うであろう問題について考えてみます。

まずは学芸員資格を取得する

既卒だけど学芸員資格を保持していないという方は、当然ですがまず取得。

既に学士をお持ちなら、働きながら学芸員資格を取得する方法もあります。

詳しくは以下の記事で解説、具体的な大学も紹介していますので参考になれば幸いです。

修士号がない場合はどうする?

学芸員志望だけど修士号を取得していない
②修士号を取得していない

結論から言うと、大学院に行かずして学芸員就職することはかなり困難です。

そもそも募集条件が「院卒以上」のことが多いですし、「学部卒」が条件であっても応募者の大半は修士以上なので実質「修士以上」はほぼ必須条件と言えます。

↓とはいえこちらに掲載されているように、院進なしで学芸員になった方も。気になる方はどうぞ。

現役学芸員の声を見る

現在のお仕事が学芸員就職で有利になる職種の場合、学芸員補等に応募して数年経験を積み正規雇用職員にチャレンジするパターンもありだと思います。

学芸員に必要な能力や適性、仕事内容については以下の記事で紹介しているので、ご自分の職種で売れるようなポイントを是非探してみてください。

学芸員に必要な能力・適性
学芸員の仕事内容

現在のお仕事が学芸員と遠い場合には、大学院進学を強くオススメいたします

そもそも、大学院に所属することにはかなり大きなメリットがあります。

「院卒」はただの肩書きではない

  • 研究の実績を積むことが容易である
  • 非公開のアルバイト情報が入る
  • 学芸員経験者の教授と繋がることができる

研究の実績とは、学会やシンポジウム、その他あらゆる発表会、研究論文などを指します

教授によっては比較的規模の小さい研究会を自主的に開催している人もおり、大学院生(とくに修士)にとっては貴重な発表の場です。

全国規模の大きな学会で発表できなくても、このような小さな機会に恵まれています。

また、実務経験につながるアルバイトやインターンの情報元は教授であることが多いんですよ。

学芸員としての実務経験がない場合はどうする?

学芸員としての実務経験がない
⑤学芸員としての実務経験がない

常に人手不足の美術館/博物館。

即戦力!になる人は重宝されます。

なので、どこか美術館やら博物館やらで就労経験はあった方が良いです。

「実務経験」=正規雇用ではありません

学芸員補や派遣、アルバイト、インターン、ボランティアまで含みます。

美術系の実務経験がゼロのまま学芸員募集を探してもなかなか厳しいのが現実だと思うので、まずは非正規雇用として経験を積みながら正規雇用枠を狙うのが良いと思い

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美術館バイトを見る

ただし給与面では厳しい!(正規でも苦しい!)ので経済的な制約はあります。

学芸員の経済面については以下の記事で紹介しています。

学芸員給与のリアル

私は学部・修士の頃に美術館(学芸員補)や画廊(アルバイト)、美術系出版社(インターン)などを経験しました。

▼ こちらで詳しくお話ししているので、興味がある方はどうぞ!

学芸員以外に美術館に関わる仕事はある?

学芸員になることが正解というわけではありませんし、世の中には他にも美術館に関わる素晴らしい職業が色々あります。

美術館と関わりながらお仕事したいという方は、以下の記事も読んでみてくださいね

学芸員になるには?重要ポイントまとめ

学生向けまとめ

学芸員になるためには...

  • 大学ではボランティアやインターンでもいいので、とにかく美術系の実務経験を積む
  • 語学を日常に取り込んで、外国語を「話せる」学芸員を目指す
  • 焦って用語を詰め込まず、美術史の流れ・物語をつかむ
  • 情報サイトや周りの人との会話を通して、美術の最新ニュースに気を配る

社会人向けまとめ

学芸員を目指すか迷っている人

これは疑問というか気持ちというか、もうどうしたらいいんですかっていう感じだと思うんですけど。。

私も実はそんなふうに考えていたので、以下の記事で共有させていただきました。(迷いがない人は読まなくてOK)

他の道を選ぶということもまた賢い選択だと思います。

私も「迷って甘えるな!」みたいなことを言われたことありますけど、人間迷って当然じゃない?と思いませんか。

そもそも、迷ったり絶望したり、そういう人間臭い感性がある人の方が学芸員に向いてますよ

学芸員になるのはやっぱり難しいの?

A. 10年前20年前と比べれば就職しやすいです

たぶん、知恵袋などでこの質問をしている人はこう思っているはず。

  • 「無理!諦めろ!」と一蹴してもらって、諦める理由が欲しい
  • 「大丈夫!頑張れ!」と背中を押して欲しい

どちらも痛いほど分かります。

でも残念ながら(?)どっちとも言い切れません。

現在は一昔前と比べ、正規職員としての学芸員募集も増えてきているのは事実です。

ここ数年は「学芸員就職のチャンス」と言われています。

管理職クラスの世代交代が起きていて、学芸員たちが繰り上がっているからです。

某学芸員募集掲示板を見ても、私の感覚では募集が多いと感じました

【2024年】学芸員求人の傾向

「就職しやすい」とは言っても、今までと比べて

競争が激しいことには変わりなく、現役の学芸員や博士課程の先輩と同じ席を狙うことになります。

学芸員になるのはなかなか難しい、というのは未だにあまり変わりありません。

難しい難しいとばかり言われるけど、本当はどうなのか。改めて考えてみました。

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りん

現役の美術館学芸員。一度は一般企業に内定を貰うも、その後大学院に進学し学芸員の道へ。公立館・私立館どちらも経験しています。実体験を交えたリアルな情報を発信中!

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