
こんにちは!現役学芸員のりん(@rinhwan_blog)です
- 公立美術館の学芸員(正規雇用)
- 西洋美術で修士号を取得
- 国際シンポジウム、学会で発表経験あり
本サイトでは、学芸員を目指していた頃の自分が知りたかった情報を紹介しています。よろしければ他の記事もご覧ください。
本記事では、研究資料が閲覧できるサイト、美術の旬な話題を取り上げているニュースサイトなどをまとめてみました。
基本的にすべて無料で利用できます。ご自身の学び、楽しみにお役立てください。
【作品図版・資料・展覧会図録】データベースサイト
Google Arts &Culture|世界中の美術館を巡り放題
ポイント
- 世界中の有名美術館の名品が高画質で楽しめる
- 好きな作品に関連した作品を簡単に探せる
- 美術館内をストリートビューのように探検できる
- 実際に開催中の展覧会を覗くことができる
Google Arts&Cultureはアート好きにはたまらない高画質のオンライン美術館。
ニューヨークならMoMAやMET、フリックコレクション、そしてロンドンのテートやナショナルギャラリー、イタリアのウフィツィ美術館などGoogleが提携している世界中の美術館の所蔵品を高画質で楽しめるサービスです。一つの作品をみると、関連した芸術運動の作品や、同じ技法で描かれた作品などをピックアップしてくれるので、新しい研究の糸口が見つかるかもしれません。
ストリートビューのようにWeb上で館内を歩いて見学できたり、作品を拡大して鑑賞することができます。音声ガイドや解説もついて、至れり尽くせり。
\展示室を見てみる(無料)/

研究のプレゼン用画像探しに重宝。普通に好きな絵を集めたりもします。
BnF(フランス国立図書館)Gallica|貴重な資料や雑誌が研究に役立つ

ポイント
- 美術書のみならず貴重な挿絵・写本も閲覧できる
- 無料・会員登録不要
- 各デバイスでアプリがリリースされているので使い勝手◎
BnF(フランス国立図書館)は1368年に創立された王室文庫から続く、フランスの国立図書館です。
そんなBnFのGallica(ガリカ)は、美術書はもちろん貴重な挿絵や写本にもアクセスできる電子図書館。2022年現在400万以上のドキュメントが閲覧可能で、一次資料を探す際に重宝します。日本からでもアクセス可能で、西洋美術史の学徒には大変ありがたいデータベース。
無料、会員登録不要で、簡単にダウンロードできます。スマホやiPad用のアプリもリリースされていて、使い勝手がいいです。
▼こちらの動画でも、例えばどんな文書を閲覧できるのか紹介しています。使い方も解説していてわかりやすいので、参考にしてみてください。
グッゲンハイム美術館アーカイヴ|展覧会カタログ大放出
グッゲンハイム美術館が1936年から2006年までの展覧会カタログを公開しています。世界中どこからでもアクセス可能、ユーザーはすべて無料で閲覧できる親切さ。PDFでダウンロードもできるので、自分で出力して読むこともできて便利です。
The New York Times ART&DESIGN|150年以上前の記事まで遡れる
ポイント
- 当時の展覧会評を閲覧できるので、作品の同時代評価を知れる
- 1851年以降のニューヨークタイムズ紙の記事が閲覧可能
- 国内大学図書館との提携も多く、有料記事も閲覧できる場合が多い
ニューヨークタイムズ紙にも、ART&DESIGNのカテゴリがあります。
最新のニュースも見ることができますが、検索機能で1851年以降のものを検索できます。研究対象の作家に関する当時の新聞記事を閲覧することができますよ。
同時代の展覧会評を閲覧したい時などにオススメです。

基本的に要サブスクになってきますが、大学がNYTimesと提携している場合は全て無料で閲覧することができます。大学によっては様々な学術系サイトと連携していたりするので、ご自身の学校の状況を確かめてみてくださいね。
美術図書館横断検索|美術雑誌や展覧会カタログを探せるサイト

ポイント
- 日本国内で美術関連の図録や書籍を探すならまずココ
- 所蔵場所の検索結果は図書館だけではなく、大学や美術館も含む
美術史系学徒にはお馴染みの「美術図書館横断検索」。美術図書館連絡会(ALC: The Art Library Consortium)が運営する、日本国内の美術関連書籍の検索ツールです。図録や雑誌も検索することができるのでとても便利。
【最新ニュース・コラム・エッセイ】サイト
BBC Culture - Art|最新ニュースやコラムを楽しむ

最新ニュースもありますが、何よりためになるコラムがたくさんあって楽しいです。
BBC内で検索すれば動画も一緒に結果に出てくるので、自分の研究分野に関する情報集めとして積極的に使いたいサイトです。コンテンツによっては日本からアクセスできないものもあるので注意。
Art Annual online|比較的規模が小さい展覧会までカバー
国内の公募展や画廊の最新情報が簡単に検索できます。美術館展覧会まとめサイトが様々ある中で、こちらも見ておくと比較的規模が小さい所やニッチな部分までチェックできるのでおすすめです。美術関係者によるコラムやエッセイもあるので、読んでおくと良いと思います。(南條史生さんが定期的にアップされてます)
artscape|現代美術用語辞典が学習に役立つサイト

注目展覧会のレビュー、学芸員が地域のアート情報を発信するキュレイターズノート、美術関連書籍のレビューなどをみることができます。
現代美術用語辞典・Artwords(アートワード)はよく利用されている方もいらっしゃるかもしれません。歴史的展覧会や芸術運動、著名な批評、社会現象など、美術史を語る上でキーとなる用語をわかりやすく解説しています。
ARTAgendA|みんなの展覧会レビューが見れる参加型ニュースサイト

ARTAgendA(アートアジェンダ)も展覧会情報サイトですが、みんなの展覧会レビュー・評価をチェックできるのがポイント。一般の人もそれぞれがレビューを書いてブログ形式でまとめていたりするので、正直で身近なレビューを参考にしたい方には◎。ご自身の記録用として利用しても良いと思います。
美術手帖|世界情勢と連動した最新美術ニュース

2022年4月号から季刊となることが発表された『美術手帖』のウェブ版。世界情勢と連動した最新ニュースがいち早く回ってきます。世界の状況と照らし合わせてアートの動向を知りたい場合は便利です。
学問としての美術史的な情報というより、国内外のコンテンポラリーアーティストやNFT、オークションレポートなどを知りたいときに。
【まとめ】美術研究に役立つウェブサイト
以上、私が学生の頃お世話になったデータベースやニュースサイトをまとめてみました。
定期的にチェックしていると「美術の今」がよくわかります。学芸員採用試験でも、タイムリーな社会問題についての論述がよく出題されます。常日頃アート関連のニュースのチェックは、抜かりなきよう!