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学芸員が選ぶ!美術・アート系の映画特集【関連展覧会・作品情報あり】

学芸員が選ぶ!美術・アート系の映画特集【関連展覧会・作品情報あり】

こんにちは!現役学芸員のりん(@rinhwan_blog)です

本記事では、「アート・美術」を題材にした映画・ドラマを紹介しています。

映像を通して画家の生涯や制作背景を知ると、知っている絵画もまた一味違って見えるもの。開催中・開催予定の展覧会や関連情報なども掲載しているので、ご自身の勉強に役立ててみてくださいね。

以下のカテゴリに分けて紹介しています。

に分けてまとめてみました。

★つきは、個人的に特におすすめな映画です。

視聴可能な配信サービス等も合わせて掲載しています。各映画詳細ページに飛べるので、参考にどうぞ。

※配信サービスは時期によって映画が視聴できない場合がありますのでご了承ください。

目次
  1. 画家の人生を描いた伝記映画
  2. 美術・アート関連のドキュメンタリー映画
  3. 美術館・コレクションに焦点を当てた映画
  4. 美術・アートをテーマにしたフィクション映画
  5. おうちで美術・アート系の映画を楽しもう!

画家の人生を描いた伝記映画

画家が生きた当時の時代背景や交友関係を知ると、彼らをとても身近に感じます。

画家の人生を魅力的に伝える伝記映画は、美術作品を鑑賞する上でも重要な土台になってくれますよ。

★セザンヌと過ごした時間

おすすめ美術映画「セザンヌと過ごした時間」

2016年|1時間57分|フランス

みどころ

2人がある小説をキッカケに絶交してしまったという話はあまりにも有名ですが、良き理解者であったことも事実でした。映画に描かれた10代前半の2人の出会い、お互いに対する信頼が美しい!

近代絵画の父ポール・セザンヌと小説家エミール・ゾラの長きにわたる交友関係を描いた美術映画。

生前に作品が理解されることのなかったセザンヌに対して、小説家として成功していくゾラ。2人の溝が広がっていった経緯とその後について描かれています。

2人は「絶交」していなかった?

ゾラが1886年に小説『制作』を発表したことで、2人は絶交に至ったと言われてきました。

しかし2014年に新たな書簡が見つかったことで、1886年以降も2人の親交は続いていた可能性が指摘されています。

本作は2016年制作ですが、トンプソン監督はこの書簡の発見前から「1886年以降も2人が密かに会っていた」仮説を立てて脚本を書き上げていたそう。本作は1888年にセザンヌがゾラを訪ねるシーンから始まります。

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ルノワール 陽だまりの裸婦

おすすめ美術映画「ルノワール 陽だまりの裸婦」

2013年|1時間51分|フランス

みどころ

第一次大戦の暗い影と病に蝕まれる身体、ルノワールが追求した明るい色彩の対比が印象的です。南仏の眩しい陽光や芸術的なエロティシズムも楽しんで。

ルノワールが晩年を過ごした南仏コートダジュールでの生活を描いた美術映画。

「画家の伝記」という要素は少なめ。ルノワールは多作の画家ですが、晩年はリウマチのせいで絵筆を握ることさえ困難でした。そんな失意の中、彼の制作意欲を掻き立てる若く美しい娘アンドレ(愛称:デデ)が現れるところから物語がスタートします。

老年のルノワールだけではなく、のちにフランスを代表する映画監督となった次男ジャン・ルノワールとヌードモデルを努めたデデが互いに惹かれていく描写にも注目。

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展覧会情報

モネ、ルノワール 印象派の光

会期:2023年6月20日(火)〜 10月9日(月・祝)
会場:松岡美術館(東京都)

松岡清次郎のプライベートコレクションの展覧会です。モネ、ルノワールをはじめとする、フランス印象派・新印象派の絵画が集合!

展覧会情報

芸術家たちの南仏

会期:2023年3月11日(土)〜 6月18日(日)
会場:DIC川村記念美術館(千葉県)

多くの芸術家の制作の地となった南仏。地中海、山々に囲まれた豊かな自然や力強い光のもとに集まり、広がっていた交流、新たに生まれた表現や技法を紹介します。

画家モリゾ、マネの描いた美女〜名画に隠された秘密

おすすめ美術映画「画家モリゾ、マネの描いた美女〜名画に隠された秘密」

2012年|1時間40分|フランス

みどころ

「マネの描いた美女」という邦題は、ミューズとしての役割をやや押し付けている感がありますが、内容はそうでもありません。男性社会で生きる複雑な感情、結婚し子を授かった後も絵を描き続けるその姿には、現代の女性に通じるものがあります。馴染みがある作品が出てくるのも◎

ベルト・モリゾは印象派の女性画家。

彼女が描く母娘の穏やかな情景は、日本でも人気!エドゥアール・マネに出会い、彼に絵を学びながらモデルを務めるようになりました。女性は家庭に入るのが当然だった時代に画家を目指したモリゾの苦悩と成長が描かれています。

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展覧会情報

部屋のみる夢─ボナールからティルマンス、現代の作家まで

会期:2023年1月28日(土)〜 7月2日(日)
会場:ポーラ美術館

19世紀から現代に至るまでの、部屋にまつわる表現に特徴のある作家を取り上げる展覧会。小さな空間で織りなされる親密な記憶や夢想を、あらためて見つめ直しています。

女性の役割が家庭内に限られた時代、モリゾが捉えた当時の家庭や暮らしのあり方も展示されています。

炎の人ゴッホ

おすすめ美術映画「炎の人ゴッホ」

1956年|2時間2分|アメリカ

みどころ

本作が発表された1956年以降も、ゴッホに関する映画は非常に多く制作されています。もちろん、ゴッホに関する新たな学術的発見も見つかってきました。それを踏まえて最近のゴッホ映画を観ると、1950年代の観衆と今の私たちの「ゴッホに対するイメージの違い」に気づくかも。

ポスト印象派の画家フィンセント・ファン・ゴッホの生涯を描いた美術映画。

一度は聖職者を目指すも挫折し、弟テオの援助を受けながら絵画の制作に明け暮れるゴッホ。ゴーギャンと意気投合し南仏で共同生活を送ることに。しかし芸術家同士は次第にぶつかり合い、関係は悪化してしまいます。そしてゴッホは精神病院への入院し、悲劇的な最期を迎えることに...。人付き合いが苦手なゴッホの孤独感と苦悩、そんなゴッホを思いやる弟テオの様子が切ない。

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国内で見られるゴッホ

ゴッホ作品を所蔵する国内美術館は結構あります。なかでも個人的におすすめな作品&美術館を紹介します。

  • 《ガッシェ博士の肖像》エッチング/東京藝術大学大学美術館
    他の国内作品は静物を対象にした油彩画が多いのに対して、こちらはゴッホの担当医であったガッシェ博士を描いた作品。ゴッホの豊かで楽しい線描が楽しめる貴重な作品です。
  • 《ばら》油彩画/国立西洋美術館
    ゴッホといえば、というダイナミックにうねる筆致を楽しめます。
  • 《ひまわり》油彩画/東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館
    日本で1番有名であろうゴッホ作品です。バブル期に損保ジャパンが買取り国内外で話題になりました。常設展示しているのでいつでも楽しめます。輝く黄色とどこか不安げな黄緑色の背景からは、ゴッホの繊細で壊れやすい内面世界を感じます。

★ゴッホ ~最期の手紙~

おすすめ美術映画「ゴッホ ~最期の手紙~」

2017年|1時間34分|ポーランド・イギリス

みどころ

1枚1枚にゴッホの作風がよく再現されていますし、《星月夜》《夜のカフェ》など有名な作品もたっぷり出てきます!ゴッホ作品の世界観にどっぷり浸かることが出来るのでおすすめ。ゴッホのファンも、あまり知らないという人も、アートに興味がある人なら見て損なしです。

ゴッホの死の謎を、全編油絵風のアニメーションで解き明かしていく異色のサスペンスドラマ。約6万5000枚もの油絵をアニメーション化した迫力満点の美術映画です。

物語は、ゴッホが弟テオに宛てた「最期の手紙」を中心に展開されていきます。ゴッホは何故37歳という若さで亡くならなければならなかったのか。「自殺」という定説以外の可能性も含めて追求されていきます。謎多き画家の死を動く油絵でドラマチックに描いた圧巻の大作!

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国内で見られるゴッホ

ゴッホ作品を所蔵する国内美術館は結構あります。なかでも個人的におすすめな作品&美術館を紹介します。

  • 《ガッシェ博士の肖像》エッチング/東京藝術大学大学美術館
    他の国内作品は静物を対象にした油彩画が多いのに対して、こちらはゴッホの担当医であったガッシェ博士を描いた作品。ゴッホの豊かで楽しい線描が楽しめる貴重な作品です。
  • 《ばら》油彩画/国立西洋美術館
    ゴッホといえば、というダイナミックにうねる筆致を楽しめます。
  • 《ひまわり》油彩画/東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館
    日本で1番有名であろうゴッホ作品です。バブル期に損保ジャパンが買取り国内外で話題になりました。常設展示しているのでいつでも楽しめます。輝く黄色とどこか不安げな黄緑色の背景からは、ゴッホの繊細で壊れやすい内面世界を感じます。

★永遠の門 ゴッホの見た未来

おすすめ美術映画「永遠の門 ゴッホの見た未来」

2019年|1時間51分|イギリス・フランス・アメリカ

みどころ

ゴッホの死の謎や周りの評価に焦点を当てた映画が多い中、本作では「ゴッホ自身が目にした世界」が描かれています。黄金色に輝く小麦畑と青空の風景美を楽しんで。本作で第75回ヴェネツィア国際映画祭男優賞を受賞したウィレム・デフォー(ゴッホ役)の演技にも注目です。

ゴッホのアルル時代を描いた映画。

ゴーギャンの言葉を信じ、南仏アルルでの共同生活をスタートしたゴッホ。自分の作品が理解されなくても、決して情熱を捨てず絵に向き合い続ける不器用な姿には胸が詰まります。今の評価と人気が、ゴッホにどうか届いてほしい。

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ゴーギャン タヒチ、楽園への旅

おすすめ美術映画「ゴーギャン タヒチ、楽園への旅 」

2018年|1時間42分|フランス

みどころ

ゴーギャンに見え隠れする人間的な脆さ、相反する身勝手さや狂気を主演のヴァンサン・カッセルが見事に体現しています。

19世紀ポスト印象派の画家ポール・ゴーギャンの生誕170周年を記念して制作された美術映画。

作品が売れずに経済的困窮に陥り、妻子を捨てて南太平洋のタヒチへと渡ったゴーギャン。楽園を思い描きタヒチでの生活をスタートしたゴーギャンですが、理想と現実の差に苦しむことに。。苦悩の中で見出したタヒチの色彩と現地の女性たちへの愛が描かれています。

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展覧会情報

憧憬の地 ブルターニュ―モネ、ゴーガン、黒田清輝らが見た異郷

会期:2023年3月18日~6月11日
会場:国立西洋美術館

ゴーギャンがインスピレーションを受けたのはタヒチだけではありません。フランス北西端に位置するブルターニュにもまた感銘を受け、度々この地を訪れ制作をおこなっています。

19世紀後半から20世紀にかけて多くの作品の主題となった美しい土地。本展ではブルターニュを表した作品約160点を選りすぐり、それぞれの画家たちがこの地に何を求め、見出したのかを探ります。

ブルターニュ関連展覧会

画家たちを魅了したフランス<辺境の地> ブルターニュの光と風

ブルターニュに魅了された画家たちが描いた作品を通じ、同地の歴史や風景、風俗を幅広く紹介。

会期:2023年3月25日(土)~6月11日(日)
会場:SOMPO美術館

赤い風車

赤い風車

1953年|1時間59分|イギリス

みどころ

楽しいキャバレーの雰囲気、客と踊り子の関係、闇に包まれるスラム街の情景に注目。最期の時まで、華やかな夜の世界を思い浮かべるロートレックの様子には胸を打たれます。

19世紀末の「夜のパリ」を描いた画家ロートレックの生涯を追った美術映画。

公爵家に生まれながら、幼少期の骨折によって下半身の成長が止まってしまったロートレック。好奇の目を向けられた画家は、ナイトクラブやキャバレー、売春宿など夜の世界に自らの居場所を見出しました。娼婦のマリーと出会い恋に落ちるも、酒場に入り浸り徐々に破滅の道を辿っていく様子が描かれています。

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エゴン・シーレ 死と乙女

おすすめ美術映画「エゴン・シーレ 死と乙女 」

2016年|1時間50分|オーストリア・ルクセンブルク

みどころ

誇張や脚色が少なく、とても丁寧な伝記映画です。その過激な作品からは想像できない、清々しいシーレ青年の姿もまた真実。

生と死・性を強調した作風で脚光を浴び、28歳という若さで亡くなったエゴン・シーレ。

過激で挑戦的な作品は度々議論の的になり、ヌードモデルを巡っては少女誘拐やわいせつ罪で告訴されました。

第一次世界大戦や病の流行で、常に死と隣り合わせだった20世紀初頭。シーレ自身も、当時流行していたスペイン風邪によって命を奪われます。本作ではその波乱に満ちた半生が、代表作の一つ《死と乙女》誕生の裏側とともに描かれています。

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クリムト エゴン・シーレとウィーン黄金時代

おすすめ美術映画「クリムト エゴン・シーレとウィーン黄金時代」

2006年|1時間35分|イタリア

みどころ

当時の混沌とした社会情勢、そして音楽建築哲学など美術以外の学問も多く花開く様子が捉えられ、知的好奇心が刺激されます。

19世紀ウィーンを代表する画家クリムトとその弟子シーレの没後100年にあわせて制作された美術映画。

2人の天才の功績と、煌びやかな官能に満ちたウィーン黄金期の美が描かれています。実際にウィーンを代表する美術館を訪れ名画を紐解きながら、同時代の芸術を解説しています。

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ロダン カミーユと永遠のアトリエ

おすすめ美術映画「ロダン カミーユと永遠のアトリエ」

2017年|1時間59分|フランス

《地獄の門》の一部《考える人》で知られる彫刻家オーギュスト・ロダンの没後100年記念映画。

ロダンは内縁の妻(ローズ)がいながら、才能に溢れた美しい弟子カミーユとの関係を深めていくことに。しかし、芸術家としての成功を望んだカミーユは、ロダンの成功と報われない関係に苛立ち、ロダンと距離を取るようになっていきます。

ロダン側の描き方でもあるので、後述の『カミーユ・クローデル』(1988)も一緒に見ることを強くお勧めします。

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実物の美術作品を見る

オーギュスト・ロダン《地獄の門
東京上野・国立西洋美術館の常設展示(作品詳細)。世界に存在する7つのブロンズのうちのひとつ。

※静岡県立美術館には《地獄の門》《考える人》が収蔵されています。

★カミーユ・クローデル

おすすめ美術映画「カミーユ・クローデル」

1988年|2時間55分|フランス

みどころ

「芸術家の愛と苦悩」を扱う映画は多いですが、本作はその中でも間違いなく傑作。純真な少女が偉大な芸術家に出会い、愛を失い、憎悪と妄想に心を支配され、狂気の渦に吸い込まれていく過程から目が離せません。

19世紀を代表する近代彫刻の父ロダンの弟子であり想い人でもあった女性彫刻家カミーユ・クローデルの半生を描いた美術映画。

才能と美貌に恵まれながらも(あるいは恵まれたからか)、自分に対する世間の冷たい視線、ロダンとの報われない関係に心を病んでいくカミーユ。一人の女の狂気と孤独が生々しく描かれています。

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モンパルナスの灯

おすすめ美術映画「モンパルナスの灯」

1958年|1時間48分|フランス

みどころ

モディリアーニ役を演じたジェラール・フィリップは映画が公開された翌年、画家と同じ36歳でこの世を去りました。鬼気迫る演技に注目。

モンパルナスで活動したエコール・ド・パリの画家モディリアーニの荒んだ生活を描いた美術映画。

病と貧困に苦しみ、麻薬と酒に溺れ、わずか36歳で早逝した画家の苦悩に満ちた人生について描かれています。実際の美術作品も登場し、見応えあり!

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★FOUJITA

2015年|2時間6分|日本・フランス

みどころ

藤田嗣治の内面世界に光を当てた、仄暗く静謐な疎開先の空気感に注目。パリで大成功を収めた藤田は、そこにどのような世界を見ていたのでしょうか。

エコール・ド・パリの画家 藤田嗣治の半生を描いた美術映画。

藤田といえば「乳白色の肌」で人気を博した瀟酒な作品のイメージが強いですが、時代の変化とともに生活の場所や作風を大きく変えた画家でした。前半では1920年パリのアートシーンで華やかに活躍する全盛期が、後半では戦時の日本に戻り戦争画を描く生活が描かれています。ドラマチックなストーリー展開やセリフはあえて削られ、静かで重厚感のある空気が漂います。

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2022年10月8日に、日本初・藤田嗣治だけの美術館「軽井沢安東美術館」(公式サイト)がオープンしました!常設展示で、いつでも藤田の作品を見ることができます。

フリーダ

美術映画 フリーダ

2002年|2時間3分|アメリカ

みどころ

スペイン語ではなく英語なのが気になるものの、音楽や鮮烈な色使いを通して画家が生まれ育ったメキシコの文化を感じることができる。

メキシコの女性画家フリーダ・カーロの生涯を描いた美術映画。

18歳の時に交通事故に巻き込まれて大怪我を負って以降、重度の後遺症に苦しみ続けるフリーダ。皮肉にも、寝たきりになったことで絵を描くことに目覚め、画家としての人生を歩み始めます。その後、メキシコ壁画運動を牽引した画家ディエゴリベラと恋に落ち結婚しますが、その結婚生活は彼女を深く傷つけるものでした。

心と体に傷を負いながらも制作を続けた波乱万丈な人生を振り返ります。

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ポロック 2人だけのアトリエ

2000年|2時間2分|アメリカ

みどころ

ポロックに惚れ込み、監督・主演(ポロック役!)をこなしたエド・ハリスの情熱が素晴らしい。作中の作品も自分で描いたというから驚き。躍動感あふれる「アクション・ペインティング」に注目です。

抽象表現主義を代表する20世紀アメリカの画家ジャクソン・ポロックの半生を描いた美術映画。ポロックの伝記"Jackson Pollock: An American Saga"(ピューリッツァー賞 伝記部門受賞)を映像化しています。

絵を描くという行為、その過程を強調したアクション・ペインティングで一世を風靡しましたが、アルコール依存症やプレッシャーによってスランプに苦しんでいきます。本作では、そんなポロックに寄り添い支え続けたリー・クラズナーとの関係が描かれています。

追い詰められていく画家と、寄り添い続けたパートナー
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日本国内ではDIC川村記念美術館(作品詳細)やアーティゾン美術館(作品詳細)に所蔵されています。

ジャコメッティ 最後の肖像

ジャコメッティ 最後の肖像

2017年|1時間30分|イギリス

みどころ

破天荒で周りの人間を困らせるも、憎めないジャコメッティの姿が魅力的。何回も作品を描き直す過程と、シュールでどこか喜劇的な雰囲気が魅力的。

アルベルト・ジャコメッティといえば長く引き伸ばされたような彫刻作品で有名ですが、実は絵画作品も多く残しています。本作は、彼が手がけた最後の肖像画制作を題材にした伝記映画です。

ジャコメッティは友人のアメリカ人作家ジェイムズ・ロードをモデルに制作をスタートするも、スランプやら突然の訪問者やらで一向に完成の気配が見えず...。

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関東であれば、アーティゾン美術館や国立西洋美術館、神奈川県立近代美術館、箱根彫刻の森美術館、ほかには大阪の国立国際美術館や富山県美術館などに所蔵されています。

華麗なる激情

華麗なる激情

1965年|2時間19分|アメリカ

みどころ

アーヴィング・ストーンによる伝記小説『苦悩と歓喜』を映画化したもので、当時の教皇やメディチ家についても理解を深めることができます。当時の教皇と芸術家の関係性に注目。今の「ローマ教皇」のイメージとは異なるはずです。

ルネサンス期の彫刻家ミケランジェロの苦悩を描いた美術映画。

代表作として名高いシスティーナ礼拝堂天井画ですが、ミケランジェロ自身の「自分は画家ではなく彫刻家である」という信念と相反する依頼でもありました。本作では、宗教と戦争、芸術の狭間で葛藤する芸術家の姿が天井画の制作を通して描かれています。序盤にミケランジェロの生い立ちや作品についてのちょっとしたドキュメンタリーがついているのも親切!

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HOKUSAI

美術映画 HOKUSAI

2020年|2時間9分|日本

みどころ

北斎の生涯と共に、当時の社会背景や浮世絵という文化を勉強できる。メインストーリーだけでなく、日本の伝統や情景を映し出す映像美もみどころです。

葛飾北斎の謎めいた生涯を描いた美術映画。確かな才能を持ちながらも売れない青年時代の北斎を柳楽優弥が、最後まで情熱を絶やすことなく進み続けた老年期を田中泯が演じています。

人気浮世絵版元の蔦屋重三郎に見出されるも、歌麿や写楽の台頭によって自分を見失う北斎。売れない苦悩と才能の開花、止まることを知らない創作意欲など北斎の精神世界を垣間見ることができます。最後まで衰えることのなかった北斎を、鬼気迫る演技で魅せる田中泯。「天才」で片付けられない、血の滲む努力と執念に注目です。

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すみだ北斎美術館
北斎ゆかりの地、東京墨田区にある美術館。
北斎関連の企画展・イベントが目白押しで、北斎ファンならまず訪れたい。

美術・アート関連のドキュメンタリー映画

名画に隠された秘密や、謎に包まれた製作過程などを丁寧に読み解くドキュメンタリー映画。

アーティストやコレクター、学芸員や専門家たちが様々な視点から美術への向き合い方を教えてくれます。

★レオナルド・ダ・ヴィンチ 美と知の迷宮

おすすめ美術映画「レオナルド・ダ・ヴィンチ 美と知の迷宮」

2016年|1時間22分|イタリア

みどころ

《モナ・リザ》《最後の晩餐》《岩窟の聖母》《洗礼者ヨハネ》ほか多数の傑作を映し出す圧巻の映像美が見どころ。また、当時にタイムスリップする演出で、ダヴィンチに関連する人物にインタビューする形式が面白い!当時の衣装がとても精密に再現されています。

「謎大き天才」と称されるレオナルド・ダ・ヴィンチの謎に迫るドキュメンタリー映画。カメラは、生まれ故郷のトスカーナ・ヴィンチ村、才能を開花させたフィレンツェ、そして円熟期を過ごしたミラノへ。それぞれの縁の地を周りながら、その知られざる人物像と制作過程を解き明かします。

「なんでもこなす万能の天才」のイメージが強いダヴィンチ。ドキュメンタリーを通して彼の軌跡を辿ると、彼もまた「人の子」であり、生涯学び続ける「努力の人」であったことを感じさせられます。

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★フェルメールの謎〜ティムの名画再現プロジェクト〜

フェルメールの謎〜ティムの名画再現プロジェクト〜

2014年|1時間19分|アメリカ

みどころ

フェルメール絵画への情熱、実行力、恐ろしいほどの執念がオタク心を刺激してくれる映画!フェルメールを「理解できない天才」として崇めるのも良いですが、実はこだわりの強い職人気質な人だったのでは?と、ちょっぴり身近なフェルメール像を与えてくれます。

テキサス州在住の発明家、ティム・ジェニソンが絵画史上最大の謎のひとつに迫るドキュメンタリー映画。

写真が発明される150年も前に、フェルメールが何故あれほど写実的な絵画を描くことができたのか?フェルメールの絵画空間を再現するために家具調度品を揃え、17世紀当時のレンズを作り、自らオランダ語を学んだジェニソンによる執念の実証です。

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\あわせて読みたい/

★大英博物館プレゼンツ 北斎

大英博物館プレゼンツ 北斎

2017年|1時間27分|イギリス

みどころ

北斎の才気溢れる作品はもちろんですが、北斎を語る研究者の情熱も見どころ。デイヴィッド・ホックニーをはじめとするアーティストや学者たちが多数協力しています。

2017年5月~8月にかけて大英博物館で開催された展覧会“Hokusai: Beyond the Great Wave”にフィーチャーした長編ドキュメンタリー映画です。

展覧会自体は、最期まで止まることを知らなかった北斎の世界に迫るもの。北斎の生涯でも還暦以降の30年に焦点を当てています。映像では展覧会の舞台裏が映され、最新技術で撮影された希少な展示物を楽しむことができます。

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まだありません(2022/12/5 現在)

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すみだ北斎美術館
北斎ゆかりの地、東京墨田区にある美術館。
北斎関連の企画展・イベントが目白押しで、北斎ファンならまず訪れたい。

ゴッホ 真実の手紙

アートドキュメンタリー ゴッホ 真実の手紙

2010年|1時間|イギリス

イギリスBBCが、ゴッホが残した多くの手紙をもとに制作したドキュメンタリー映画。

不安で、孤独で、繊細なゴッホ役を、ベネディクト・カンバーバッチが演じています。一人称視点の再現VTR形式で、コンパクトなゴッホ入門編として最適。すでにゴッホについてある程度知っている方には目新しい情報はないかもしれません。

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★ミステリアス・ピカソ 天才の秘密

ミステリアス・ピカソ 天才の秘密

1956年|1時間18分|フランス

みどころ

ピカソ本人がどのように筆を運ぶのか見ていると、頭の中をのぞいている気分になります。絵描きなら必見です!

20世紀最大の画家のひとり、パブロ・ピカソの創造の秘密に迫ったドキュメンタリー映画。

1956年に制作されたものですが、2021年に高精細HDリマスターによって鮮明に蘇りました。軽やかで大胆なタッチ、そしてチャーミングなピカソ本人に心奪われるはず。

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ピカソの企画展は国内でも頻繁に開催されていますが、多作の画家なのでコレクションを持つ美術館もたくさんあります。

関東であれば、アーティゾン美術館ポーラ美術館箱根彫刻の森美術館ピカソ館DIC川村記念美術館などが有名どころでしょう。ポーラ美術館は「青の時代」の《海辺の母子像》を持っていて特におすすめ。群馬県立近代美術館ではゲルニカのタピスリーが見られますよ。

展覧会情報

『スペインのイメージ:版画を通じて写し伝わるすがた』

会期:2023年7月4日(火)〜9月3日(日)
会場:国立西洋美術館

17世紀初頭から 20 世紀後半におけるスペイン版画制作の流れを概観し、版画という存在がスペインの文化・美術に関するイメージの形成や流布にどのように貢献したかを探るこれまでにない展覧会。

リベーラからゴヤ、ピカソ、ミロ、ダリら巨匠たちの仕事を含んだスペイン版画の系譜を辿るだけでなく、ドラクロワやマネなど19世紀の英仏で制作されたスペイン趣味の作品を多数紹介します。(作品数:約240 点)

★エッシャー 視覚の魔術師

2019年|1時間20分|オランダ

みどころ

エッシャーの不思議な絵がどのように形作られていくのか、思考を分かりやすく説明しているので面白い!

トリックアートで知られるオランダの版画家・画家マウリッツ・コルネリス・エッシャーの生涯に迫ったドキュメンタリー映画。

エッシャーの作品を、CGアニメーションを用いて立体的に描き出す。チャーミングなエッシャー本人が語り手になる演出で、その美術作品と波瀾万丈な生涯を振り返ります。日記や書簡、家族へのインタビューなどを手掛かりに彼の足跡を辿ることで、エッシャーが見てきた世界を追体験することができます。

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キース・ヘリング〜ストリート・アート・ボーイ

キース・ヘリング〜ストリート・アート・ボーイ

2020年|53分|イギリス

みどころ

あまり知られていない活動家としての面を持ちながら、優しく親しみやすい"ソフト"な一面を持っていたヘリング。美術/アートは一部の上流階級だけではなく全ての人のもの!という想いを知ると、街中の「キース・ヘリング」がよりエネルギッシュに感じるはず。

1980年代のニューヨーク・アートシーンに旋風を巻き起こしたキースヘリング。

ユニクロなどアパレル業界とのコラボも多いので、知っている人も多いはず。何気なく着ているそのデザインにも、街に溢れるグラフィティにも、実は重要な意味があるかも。本作ば、同性愛、ドラッグ、エイズ...31歳の若さでこの世を去ったキースが、死を目前に自らの人生を語るドキュメンタリー映画です。イケてて活力に溢れる「アメリカの若者」代表としてのヘリングを知ることができます。

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中村キース・ヘリング美術館
山梨県八ヶ岳の大自然の中で、ヘリングのエネルギーを感じることができる美術館。約300点のキース・ヘリング・コレクションを所蔵しています。

バスキア、10代最後のとき

2018年|1時間19分|アメリカ

ジャン=ミシェル・バスキアの没後30年を記念して制作されたドキュメンタリー映画。

当時の友人や関係者たちのインタビューを通して、若き日のバスキア像を振り返ります。バスキアの作品だけではなく、当時の映像・音楽・詩から70~80年代のニューヨークカルチャーを体験できるますよ。

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▼ 年譜や人物相関図も分かりやすく、コンパクトにまとまっていておすすめ。

イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ

イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ

2011年|1時間27分|アメリカ・イギリス

みどころ

作品全体に皮肉やユーモアが散りばめられていて、バンクシーらしさに溢れています。バンクシーに関する情報はもっとないの?!そう言わずに、与えられる軽やかな驚きの連続に身を任せてみて。

アメリカを拠点に活動する覆面アーティスト・バンクシーが初監督を務めたドキュメンタリー映画。

バンクシーを追いかけ接触に成功した映像作家のティエリーが、気づいたら逆にバンクシー撮影されていた?!てな感じのドキュメンタリーです。バンクシー「について」の作品ではなく、バンクシーのアドバイスでアーティストデビューしてしまうティエリーにスポットライトが当てられています。自分を撮ろうとする人間のカメラを奪って逆に撮影してしまう、バンクシーらしさ全開の映画。

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バンクシー・ダズ・ニューヨーク

バンクシー・ダズ・ニューヨーク

2016年|1時間19分|アメリカ

2013年10月1日、バンクシーがニューヨークで突如開催した「展示」を記録するドキュメンタリー映画。

それからの1ヶ月間、ニューヨーク各地の路上に毎日1点ずつ作品を残し公式サイトに投稿。作品が描かれた場所を探し当てるために、人々がSNSを駆使しながらニューヨークを駆け回る様子が記録されています。

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美術館を手玉にとった男

美術館を手玉にとった男

2014年|1時間30分|アメリカ

2011年、全米20州、46館にものぼる美術館が贋作の絵画を所有していることが発覚。それら全てが、一人の男マーク・ランディスによって描かれたものでした。

この「事件」の特に奇妙な点は、ランディスが「慈善活動」と称してこれらの贋作を無償で美術館に寄贈していたということろ。長年にわたり、15世紀のイコンから、ピカソ、マグリット、ディズニーまで、様々なアートを模倣し続け執念を燃やす男マーク・ランディス本人や、事件に関わった人たちを追ったドキュメンタリー映画です。

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美術館・コレクションに焦点を当てた映画

美術館に足を運べない日は、映画でコレクションを楽しんで。

★エルミタージュ美術館 美を守る宮殿

エルミタージュ美術館 美を守る宮殿

2014年|1時間23分|イギリス

みどころ

世界一の所蔵数を誇る美術館なので、実際に足を運んだら何日あっても足りそうにない館内。本作では、魅力を凝縮した美術館ツアーに参加しているような感覚で回ることができます!かつては宮殿であり世界遺産にも登録されている豪華絢爛な美術館内も見どころ。

フランスのルーヴル美術館、米国のメトロポリタン美術館と共に「世界3大美術館」に数えられるロシアのエルミタージュ美術館のバックステージを映し出したドキュメンタリー映画。

ダヴィンチ、ミケランジェロ、レンブラント、ゴッホ、ピカソ、マティスなど300万点を超える膨大な至宝を守り続けてきた秘密に迫ります。

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ナショナル・ギャラリー 英国の至宝

ナショナル・ギャラリー 英国の至宝
公式Facebook

2014年|3時間|アメリカ・フランス

みどころ

学芸員それぞれの作品解釈が聞けるのも面白い!関係者1人1人の熱量や誇り、絵画から物語を読み解く大切さがひしひしと伝わってきます。

世界屈指の美の殿堂、ロンドンのナショナル・ギャラリーを舞台にしたドキュメンタリー映画。

専門家による講演やギャラリートーク、高度な修復作業、そして圧倒的な名画の数々まで、ありのままの美術館の姿を伝えています。

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★フィレンツェ、メディチ家の家宝 ウフィツィ美術館

フィレンツェ、メディチ家の家宝 ウフィツィ美術館

2016年|1時間37分|イタリア

みどころ

サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂をはじめとする、街全体の壮観な建築と彫刻の臨場感もみどころ。肉眼で見ることができないショットも楽しめます。

フィレンツェの街とヨーロッパ最古の近代美術館の1つでもあるウフィツィ美術館を4K(Ultra HD)3Dカメラで記録したドキュメンタリー映画。フィレンツェを中心にヨーロッパで絶大な権力を振るったメディチ家歴代のコレクション、ダ・ヴィンチやミケランジェロ、ボッティチェリなど、ルネサンス期の巨匠たちの名品を最新技術で撮影しています。

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プラド美術館 驚異のコレクション

プラド美術館 驚異のコレクション

2019年|1時間32分|イタリア・スペイン

みどころ

スルバランの神秘的な静物画やホセ・デ・リベーラが描いた「驚異」についても知ってほしい。こんな絵画がこんな時代に?!という驚きに満ちています。

スペイン美術史をなぞりながら、プラド美術館の主要な所蔵品についても解説していくドキュメンタリー映画。

修復家や学芸員、プラドに馴染みのある舞踏家などが作品への想いを語っています。ベラスケスやゴヤはもちろんのこと、スペインを代表する名画の背景を知ることができます。イタリアやフランスの巨匠は知っていても、スペインはまだまだ知らないなぁという方におすすめ。

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グレート・ミュージアム ハプスブルク家からの招待状

グレート・ミュージアム ハプスブルク家からの招待状

2014年|1時間34分|オーストリア

みどころ

館長、学芸員、修復家、美術史家、運搬係、清掃員...美術館に関わる人たちの静かな情熱と本音が垣間見れます。

創立120周年を迎えたウィーン美術史美術館の裏側を捉えたドキュメンタリー映画。

ハプスブルク家の膨大な美術品を守りながら、21世紀の現代で生き残らなければならない美術館。芸術とビジネスの両立に翻弄されるスタッフたちの仕事のリアルと、その大規模な改修工事の様子に密着しています。

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メットガラ ドレスをまとった美術館

メットガラ ドレスをまとった美術館

2017年|1時間30分|アメリカ

ニューヨーク・メトロポリタン美術館で年に1回開催される、世界最大のファッションイベント「メットガラ」。皆さんご存じのVOGUE編集長アナ・ウィンターが主催するファッションショーです。毎年世界中から多くの一流セレブが集まり、煌びやかな衣装を披露します。

METの理事も務めるアナ・ウィンターと名物キュレーター、アンドリュー・ボルトンが手を組み企画を進めていく過程で様々な問題が起き...。美術館服飾部門の資金調達を目的とした「メットガラ」を巡る、綿密な準備の裏側を映し出したドキュメンタリー映画です。

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美術・アートをテーマにしたフィクション映画

史実に基づくものではありませんが、美術の世界にハマるきっかけになるかも。

美術に関わる様々な仕事を知るきっかけにもなりますよ。

ミケランジェロの暗号

美術フィクション映画 ミケランジェロの暗号

2011年|1時間49分|オーストリア

みどころ

ナチスとユダヤ人がテーマと聞くと重苦しい映画と思われがちですが、終始ウィットに富んだ温かい作品でもあります。

ミケランジェロの素描を巡る、ドイツナチスとユダヤ人画商一家の駆け引きを描いた戦争サスペンスコメディ映画。

第二次世界大戦中のドイツは、一族に代々受け継がれてきたミケランジェロの素描をムッソリーニの訪独の土産にしようと狙います。主人公は、家宝のミケランジェロを守るために奮闘して...。歴史的な考証に即しながら、テンポも良く痛快な終わり方を楽しめるフィクション映画になっています。

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アキレスと亀

美術フィクション映画 アキレスと亀

2008年|1時間59分|日本

北野武監督・主演の美術映画。アート系フィクション映画といえば、絵画の謎解きや天才芸術家の恋路を扱うものが多いですが、『アキレスと亀』は異色。無名の画家と彼の才能を信じる妻が、周りの無理解に苦しみ堕ちていくストーリーです。芸術家として成功する人はほんの一握り。死後に評価されたゴッホと異なる厳しさを見せつけられます。

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★ミッドナイト・イン・パリ

美術フィクション映画 ミッドナイト・イン・パリ

2011年|1時間34分|スペイン・アメリカ

みどころ

芸術家本人と彼らを演じる役者がかなり似ている!当時の人たちのビジュアルを知っている人は特に楽しめます。

2012年のアカデミー賞・ゴールデングローヴ賞で最優秀脚本賞を受賞した美術映画。

真夜中0時を鐘の音が鳴ると、車は1920年代へタイムスリップ!ダリやヘミングウェイ、ガードルードスタインなどの芸術家・知識人たちが生きた1920年代パリの雰囲気を堪能できます。パリの詩的な美しさを楽しめること間違いなし!アート好きなら必見です。

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ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像

ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像

2018年|1時間35分|フィンランド

みどころ

老画商の仕事に対する誇りと重厚なヒューマンドラマがみどころ。静かに進む仄暗さ、作中ずっと漂う物悲しさも本作の魅力。

フィンランドの首都ヘルシンキで小さな店を営む老美術商オラヴィは、オークションハウスの下見会で作者不明の肖像画を見つけます。

オラヴィはこの作品の価値を確信し、孫息子のオットーと共に謎を解き明かしていくというストーリー。物の価値について考えさせられます。

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★最後のフェルメール ナチスを欺いた画家

最後のフェルメール ナチスを欺いた画家

2019年|1時間48分|アメリカ

みどころ

寡作画家の贋作をベースにした映画は数多いですが、中でもフェルメールのメーヘレン事件は有名!本物/贋作とは?と考えさせられる、どんでん返しありのストーリー展開が魅力。

フィクション映画に分類しましたが、フェルメールの贋作に関する実話に基づいた映画です。

舞台は第二次大戦終戦後のオランダ。戦争中に盗まれた美術品を捜査する任務に就いた、オランダ系ユダヤ人のジョセフ・ピラー大尉。大尉は、美術愛好家メーヘレンが貴重なフェルメールの絵画を史上最高額でナチスに売りつけたことを突き止めます。死刑相当の重罪となる対独協力罪として調査を進めますが、事件の真相は思わぬ方向に進んでいくことに...。

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真珠の耳飾りの少女

美術フィクション映画 真珠の耳飾りの少女

2003年|1時間40分|イギリス

フェルメールの代表作《真珠の耳飾りの少女》が描かれた背景とそのモデルを巡るフィクション映画。

フェルメール家で働く少女グリートがフェルメールに見出され、芸術に目覚めていく過程が描かれています。ヒロインのモデル役は、今や誰もが知る大女優スカーレット・ヨハンソンが演じています。フェルメール役は、イギリス人演技派俳優コリン・ファース。

人々の装い、室内のカーテンや窓はまさにフェルメールの世界!こだわりの映像美、リアルな生活音、画家の絵の世界観を楽しめる美術映画です。

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黄金のアデーレ 名画の帰還

美術映画 黄金のアデーレ 名画の帰還

2015年|1時間49分|アメリカ・イギリス

みどころ

大切なものを奪う戦争、マリアの祖国への複雑な想い、裁判という厳しい現実を描いたヒューマンドラマであり、反戦映画。大女優ヘレン・ミレンがみせる迫真の演技に注目。

クリムトの名画《黄金のアデーレ》を巡る裁判の実話をベースにした美術映画。

《黄金のアデーレ》はオーストラリアの至宝として高い人気を誇る絵画なので、見覚えがある人も多いはず。作品は長い間美術館に飾られていたのですが、アメリカで暮らす82歳のマリア・アルトマンが「《黄金のアデーレ》は対戦中にナチスによって略奪されたものであり、正当な持ち主である自分に返すべきだ」とオーストリア政府を訴えました。政府が簡単に手放すはずもなく、名画を巡る闘争が始まります。

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チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛

チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛

2017年|1時間45分|アメリカ・イギリス

みどころ

時代考証に基づいて再現された衣装や街並みはまるでフェルメール作品のよう。美しい世界観と、愛と花(金)に溺れ堕落していく人たちの対比が見どころ。

舞台は17世紀、「チューリップバブル」が加熱する黄金時代のオランダ。

フェルメールが生きた時代、裕福な商人コルネリスに嫁いだソフィアと、夫婦の肖像画を依頼された無名の画家ヤンの禁断のロマンスが描かれています。ロマンス面に重きを置いた美術映画です。

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おうちで美術・アート系の映画を楽しもう!

いかがでしたか?

本記事では、美術・アート系の映画をご紹介しました。

画家の人生や彼らを取り巻く人々について知れば、もっと美術が好きになるかもしれません。

展覧会に行けない日も、おうちで美術を楽しんでみてはいかがでしょうか。

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  • この記事を書いた人

りん

現役の美術館学芸員。号泣しながら大学に行ったり、病気で大学院を休学したけれど、私は元気です。学芸員や美術に興味がある人の助けになりますように。

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