学芸員補とは?大学生でもなれる?雇用形態や応募条件、応募方法を解説

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学芸員補とは?大学生でもなれる?雇用形態や応募条件、応募方法を解説

筆者について

現役学芸員のりん(@rinhwan_blog)です

  • 正規雇用の美術館学芸員
  • 公立美術館・私立美術館双方を経験
  • 美術史で修士号を取得
  • 一般求人で応募

本サイトでは、学芸員を目指していた頃の自分が知りたかったこと等を紹介しています

本記事では「学芸員補」について解説していきます。

学芸員補になる条件・雇用形態・応募方法等を解説していますので、是非最後まで読んでみてください。

学芸員についてはこちら

学芸員補とは

学芸員補の定義

文化庁公式サイトによると、

学芸員は,博物館資料の収集,保管,展示及び調査研究その他これと関連する事業を行う「博物館法」に定められた,博物館におかれる専門的職員です。学芸員補は学芸員の職務を補助する役割を担います。

文化庁

とあります。

「学芸員補」という名称自体には、細かい定義はありません。

学芸員の仕事を補佐する立場という認識です

ただし「学芸員補」とは、学芸員の近くで展示作業や研究調査に直接関わるような補助作業を中心に行う職務を指します。

監視員や受付など現場中心のお仕事、又は博物館・美術館の軽い雑務や広報中心の作業を行う職種とは別の扱いであり、異なる採用窓口であることが多いです。

学芸員補の雇用形態

学芸員補の雇用形態に決まりはありませんが、あくまで「補助」という立場ですので、基本的に正規雇用ではありません。

私はアルバイトで学芸員補をしていました

アルバイトのほか、会計年度職員や嘱託職員など非常勤での勤務形態が1番多いかと思います。

基本的に金銭が発生する雇用形態であり、ボランティアや無償インターンの場合はほぼないと言えるでしょう。

学芸員補になるメリット

学芸業務の実務経験を積むことができる

学芸員として働く1番のメリットは、学芸業務の経験を積むことができる点です

搬出入の様子や忙しない展示作業の補助をしているうちに、1つの展覧会がどのように出来上がっていくかを間近で実感できるチャンス。

博物館学芸員資格の実習では経験できない、リアルな現場の様子が分かります。

学芸員のすぐ近くで仕事に関わることができるので、学芸員募集要項でも「学芸員補あるいはそれに匹敵する経験」を優遇条件に記載している館は多いですよ。

将来正規雇用での学芸員採用を目指している方は、是非経験しておきたいのが「学芸員補」です。

博物館学芸員資格認定の要件を満たすことができる

博物館学芸員資格を取得するには、以下3つの方法があります。

  1. 学士の学位を取得(大学・短大を卒業)、かつ文部科学省令の定める博物館に関する科目の単位を修得する。
  2. 大学・短大に2年以上在学し、博物館に関する科目の単位を含めた62単位以上を修得したうえで、3年以上学芸員補として働く
  3. 文部科学大臣が文部科学省令で定めるところにより、上記2点と同等以上の学力及び経験を有すると認めたもの(学芸員資格認定を合格したもの)。

大半の人は、①の方法(大学に通いつつ所定の単位を取る方法)を選ぶことになると思います。

②の方法で取得を狙う場合には、学芸員補としての職務経験という条件を満たさなければなりません。

つまり学士号を取得していない場合でも、然るべき単位を習得し学芸員補として経験を積むことで博物館学芸員資格を取得できる、ということです。

どうやったら学芸員補になれるのか

学芸員補の応募条件

募集元の博物館/美術館によって応募条件はまちまちですが、「学芸員補」募集では一般的に経歴などは問いません。

ただし、博物館学芸員資格を必要とするケースは多いので注意。

※前述した博物館学芸員資格取得方法の(2)に当てはまる方は、その旨を応募先の館に伝えることで学芸員資格保持と同等として融通を効かせてくれる場合もあります。

学芸員募集では「院卒」や「博物館/美術館での実務経験3年以上」「専門の分野での研究実績」などが求められることも多いので、それらと比較すると学芸員補はかなり応募のハードルが低いです。

大学院生であれば、学芸員補としてアルバイトする道は十分あり得ます

① 求人サイトから応募

求人サイトでの募集は少なめ。

ただし以下の掲示板を巡回していれば月に数回応募のチャンスはあります。

★ 以下、特に学芸員関係の求人がよくまとまっているサイトです。

必見!学芸員補の求人

また、以下のようなその他アルバイト求人サイトにも隠れた募集があります

\学芸員 募集の検索結果/

リクナビ派遣で見る

タウンワークで見る

他で未掲載の美術館関連募集があったりするので、こちらもまめにチェックしておくことをオススメいたします。

以下の記事は学芸員求人について調査したものですが、学芸員補についても同じことが言えますので参考になれば幸いです。

② 非公開求人/求人サイト以外から応募

非公開求人とは、教授や研究室に直接入ってくる情報などを指します。

博物館/美術館ができる限り応募者を絞りたいという目的もあります。

有名な館ほどこのような方法をとっているところが多いです。

③ 大学教授の紹介

一般に公開されている学芸員補募集は競争率が高いです。

なので学生が学芸員補のアルバイトをする際には、教授の紹介を介すのが一般的

大学教授の中には学芸員や美術館とつながりのある人が多く、美術館アルバイトを紹介してもらえることがあります。

同じ研究室から継続的にアルバイトをとっている私立美術館も多いんですよ。

逆に言えば、美術館とつながりのある教授(研究室)かどうか調べてから大学院を選べると◎

教授自身が主催している研究会のパネラーや参加者などに現役の美術館関係者がいるかどうか で美術関係者とのコネクションの多さは見極められたりします。

研究会やシンポジウムなどは学部生でも学外の方でも参加できたり、登壇者を調べたりできますので是非実践してみてくださいね。

以下で、美術館関係者と繋がりを持つために出来ることを紹介しています

まとめ|学芸員補からステップアップを狙おう

本記事では学芸員補について簡単に解説しました。

学芸補は学芸員よりも応募条件のハードルが低く、大学生〜大学院生でも十分に採用される可能性があります。

学芸業務を身近に体験でき、「学芸員補」「学芸業務経験あり」として履歴書にも書くことができるのは大きなメリットでしょう

教授の紹介や非公開求人から採用されるケースもありますが、一般求人にも定期的に掲載があります。

学芸員を目指す人であれば、まず学芸員補として経験を積むことをオススメしますよ。

学芸員を目指す方向けの【完全解説】です。興味がある方は是非読んでみてください。

  • この記事を書いた人
美術館学芸員

りん

現役の美術館学芸員。一度は一般企業に内定を貰うも、その後大学院に進学し学芸員の道へ。公立館・私立館どちらも経験しています。実体験を交えたリアルな情報を発信中!

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