
現役学芸員のりん(@rinhwan_blog)です
- 正規雇用の美術館学芸員
- 公立美術館・私立美術館双方を経験
- 美術史で修士号を取得
- 一般求人で応募、筆記と面接試験を経験
本サイトでは、学芸員を目指していた頃の自分が知りたかった情報を紹介しています。よろしければ他の記事もご覧ください。
本記事は、私自身の経験や学芸員募集の有名掲示板、また複数の求人サイトを通して「2023年現在で確認できる学芸員求人募集状況」についてまとめたものです。
▼ 学芸員の給料や競争率について知りたい方はこちら
▼ 美術関連のアルバイトをお探しの方向け
要チェックの学芸員求人募集サイト

今回の調査で参考にした学芸員求人募集の掲示板です。私自身も学生の頃お世話になりました。
★ 以下、特に学芸員関係の求人がよくまとまっているサイトです。
本記事の情報源
学芸員募集の掲示板|TeaCup
» 上記サービス終了に伴いFC2掲示板へ移行- 学芸員募集の掲示板|アイエム
- 学芸員の求人|Indeed
- 美術館に直接届いた求人

学芸員志望は定期的にチェックしておきましょう
およそ2021年ごろまでは、学芸員募集といえばTeaCup掲示板だったかと思います。
しかし2022年をもって大元の掲示板がサービス終了したことから、2023年現在ではFC2掲示板へ移行されています。
研究室の掲示板について
研究室に所属している方は、研究室内で学芸員求人の情報共有があると思うので、見逃さないようにしてください。大学によっては研究室の前にチラシが置いてある場合もあって、研究室以外の人が見ることも可能です。一度所属されている大学内をチェックしてみてくださいね。
学芸員の求人募集状況は?(2023年)

注意
全国・全分野の学芸員に関する求人状況です。その中から、生物系、考古学系、美術系等、ご自身が応募できる人数となると、さらに絞られることを前提でご参照ください。
学芸員求人募集数の集計・傾向
FC2、アイエムの学芸員求人掲示板で実際1ヶ月のうちにどれだけの学芸員募集がリリースされたのかを数えてみました。
日本全国の博物館や美術館、植物園や水族館、プラネタリウムなどあらゆる施設における学芸員職すべてが対象です。※正規・非正規・アルバイトなど全ての勤務形態を含む
【参考】学芸員求人数
雇用形態 | 正規 | 非正規 | うち美術館 |
人数 | 8 | 38 | 8 |
雇用形態 | 正規 | 非正規 | うち美術館 |
人数 | 2 | 8 | 2 |
なお、筆者が個人的に以下のやり方でカウントしたものですので、その点ご了承ください。
ー注意点ー
- 募集人数ではなく、求人の数です。
- 同じ求人内容のものは1つにまとめています。
- 司書の求人募集はカウントしていません。
- アソシエイトフォローは任期つきのため、本記事では「非正規」としてカウントしました。任期について明記がないものは省いています。
- 「教育普及担当」「レファレンス」「広報担当」等の求人業務内容かつ必須資格欄に「博物館学芸員資格」の明記がない場合でも、学芸員の業務内容の一部を担っているものはカウントしました。(全体の5%程度)
- 「学芸員」だけではなく「美術館事務員」「学芸業務」「学芸補助」などの言い回しも含んでいます。("学芸業務"という言い回しの注意点)
学芸員求人募集の傾向
特に多い求人は埋蔵文化財調査系と博物館相当施設です。
今現在は美術館も十分な求人募集があるように思います。
美術館求人は個別でカウントしてみましたが、館の規模を問わなければ月に8件も募集がありました。

月2〜3つは正規雇用の募集が出ている印象です。
名の知れた公立館もありますが、すでに学芸員として経験を積んでいる人たちによる席取り合戦になるのが現実です。

例年1月〜3月は求人募集数が増える傾向があります。
美術館に直接届く求人のお知らせも、この時期が多いです。
掲示板を定期的に見ていて気づく方もいるかもしれませんが、毎年のように非正規雇用での募集を出している館も見られます。
任期付非正規雇用であっても大体そのまま更新されることが多いですし、学芸員の枠は通常そこまで動きません。

そんな中で募集が頻繁ということは、何か理由があって人が去ることが多いのかも?
どのように捉えるかは応募者次第ですが、毎年人の出入りを繰り返すという傾向そのものは注視しておく必要があるでしょう。
非正規雇用の学芸員求人
学芸員求人の多くは「非正規雇用」です。
地方自治体であれば会計年度職員、私立なら嘱託職員など呼び方は様々ですが、いずれも非常勤での勤務となります。
非正規雇用と聞くと不安になりますが、
- そのまま正規雇用もありうるし
- 収入は安定しないが、学芸員志望としては現実的選択
であるのも確かです。
非正規雇用求人では「1年目の実績によって2年目以降正規雇用の可能性あり」という文言も見かけますね。
可能性は高いとは言えませんが、希望はあります。
また、非常勤で経験を積み正規雇用の求人にチャレンジするという道は、学芸員を目指している人の中ではもっともメジャーな方法です。
(経済的に可能ならば)ステップアップとして一度非正規の学芸員求人に応募するのはとても現実的な選択と言えます。
【注意】学芸員に応募したのに博物館に勤務できない?
正規/非正規に関わらず、公立博物館の"学芸員枠"に応募する際に注意しなければならない点があります。

それは、「学芸業務」に応募しても(運が悪いと)博物館に勤務できない可能性があるということです

実は、公立博物館の「学芸職」募集の場合、学芸員採用に見せかけた一般事務採用が存在します。
この場合「学芸員」として採用されたはずが、博物館ではなく役所の「文化政策課」「歴史文化課」などに配属され、いわゆる学芸員として想像されるような仕事はできません。
このような採用・配属をされた人を知っていますが、採用1年目から文化政策課勤務となり、その後8年ほどそのまま、博物館にはいまだに異動ナシです。(博物館に移る可能性もない訳ではありませんが)
もちろん、そのような課の仕事が悪いという意味ではありませんが、「博物館で学芸員の仕事をしたい」と考えている人は心に留めておいた方が良いでしょう。
勤務地の欄に「県内のいずれかの博物館」と明記があるか等は、募集要項で確認できる可能性もありますから注意して見ておくと良いでしょう。
学芸員の給与
公務員として公立美術館に勤める場合には、該当する自治体の一般事務職の給与が適用されます。
待遇面も手厚いです。
一方で私立美術館の場合はピンキリ。
そこそこ知名度のある美術館の正規雇用でなければ、学芸員として生活するのは厳しいのが現実です。
バイトやパートなどの非正規雇用は地域によってかなり差があり、時給860円〜都心だと1,100円程度までありました。
学芸員の給与の実際については、以下の記事で詳しく書いているので興味がある方は参考にしてみてください。
また、非正規雇用は正規雇用と比べて給与が低いですが、業務内容はほぼ変わらない場合が多々あるということを覚えておきましょう。
仕事ができる非正規雇用の職員ほど、正規雇用の学芸員と同じ量の業務を任されることが多いです。

これは一般企業でも起こり得ますね。皮肉です
そして正規雇用職員とは待遇面で差があるので、残業しても報われないパターンが結構あります。
非正規の学芸員求人に応募する際には、その可能性も頭の隅に入れておきましょう。
» 学芸員の具体的な業務内容については こちらの記事 で詳しく紹介しています。
学芸員の求人募集は形だけ?
求人は形だけで、実際にはコネが必要だ!なんて話を聞くことがあります。

もちろん、そんなことはありません
確かに、美術館や博物館と繋がりがあった方が就職はスムーズかもしれませんが、コネがない人も十分に学芸員を目指すことは可能です。
コネが欲しい!けど今は何もない!という方も実践できることを以下の記事にまとめましたので、お時間がある方は覗いてみてください。
学芸員以外で、美術館に関わる職業は?
学芸員は求人が少ないのに加えて、学芸員経験者も多く応募することから、競争率は自然と高くなります。
美術は好きだけど大学院に行く余裕がない、そんな競争率を勝ち抜く自信がないという方もいるでしょう。
学芸員以外にも、美術館に関わるお仕事は色々あります。
以下の記事で詳しくご紹介していますので、興味がある方はぜひ。
【まとめ】学芸員の求人募集情報
自分の経験と知識に基づいた内容にしたかったので、美術館の学芸員に絞ったお話になってしまいましたが、何かのヒントになれば幸いです。
記事の内容をさくっとまとめると、以下の通りです。
まとめ
- 今現在、学芸員求人の数はそれなりにある。チャンス!» 学芸員への道【完全版】
- 圧倒的に求人が多い非正規雇用に応募するのも現実的選択。
- 公立は安定して17〜18万円程度だが、私立美術館の給与はピンキリ。
- コネがなくても求人から応募で学芸員になれます。 » コネの作り方はこちら
- 学芸員以外の求人にも目を通すのもいいかも。» 美術館に関わる仕事はこちら