学芸員を目指す

【経験談】学芸員になりたい人へ!私が美術館学芸員になるまでにしたこと

【経験談】学芸員になりたい人へ!私が美術館学芸員になるまでにしたこと

こんな疑問を持っている方へ

  • 学芸員になりたいけど、具体的にはどうしたいい?
  • 実際に学芸員になった人はどんなことをしてきたんだろう

現役学芸員のりん(@rinhwan_blog)です

  • 公立美術館の学芸員(正規雇用、令和採用)
  • 美術とは関係のない学部に在籍
  • 留学経験あり(英語圏、1年間)
  • 西洋美術で修士号を取得
  • 大学院修了と同時に学芸員就職

本サイトでは、学芸員を目指していた頃の自分が知りたかった情報を紹介しています。よろしければ他の記事もご覧ください。

本記事では、美術館学芸員を目指していた私の【大学生活】【大学院生活】の過ごし方、実績などについて詳しくお話ししたいと思います。あくまで個人的な経験談ですが、参考になれば幸いです。

「学芸員を目指す」完全解説は別記事にしているので、こちらをご覧ください。

私は体調不良で半年間大学院を休学していましたが、卒業と同時に学芸員正規雇用採用が決まりました。

学生の頃は「どんな人が、どれくらいの期間何をして、学芸員になれるものなのか」という具体例が欲しかったものです。

同じような方に向けて本記事を書きました

学芸員を意識した【アルバイト・インターン・ボランティア】

まずは、アルバイト・インターンシップ・アルバイトについてまとめたいと思います。

学芸員採用では「実務経験」が重視されるので、これらの就業経験は学生時代にやっておいて良かったと思うことのひとつです。

美術関連では、こんなことをしていました。

学部時代

  • 【画廊】(ボランティア、2年弱)雑用、海外アーティストが来日した際の通訳、同行。
  • 【美術系編集部】(有償インターン2年弱)美術系の記事執筆、ライターの文章校正、事務作業。
  • 【美術館】(アルバイト、2年半)受付、看視に加えて外国人対応。
  • 【海外の画廊】(無償インターン、1年)留学中の1年間、現地画廊のアシスタント。アーティストの制作補助など。

院生時代

  • 【美術館】(アルバイト、3年弱)学芸員補として、本格的に学芸員さんのお手伝いをさせてもらう。教育普及・広報を中心とした学芸業務。

上記活動の諸々は、普通のアルバイト求人サイトで探したり、画廊のサイトを片っ端からみて人手募集してないか見て回りました。

履歴書で応募して、普通の面接を受けた感じです。(海外画廊は飛び込み)

なんとなく経験積んでる風に見えるかもしれませんが、一つ一つの仕事は学部生の未経験者でも出来ることでした

美術系の経験なんて何もない!という人もボランティアやインターン等、募集採用のハードルが低い形態から始めてみると良いと思います。

段々とステップアップして、最終的に学芸員補のアルバイトまでできたら理想的です。

とにかく学芸員の実務に役に立ちそうな経験をしておくことはとても大切。

というのも、学芸員募集には経験有の現役学芸員が応募してくるのが普通だったりします。すでに学芸員として働いている人と同じ席を取り合うことになります。

 その実務経験には勝てなくても、(アシスタントでもなんでも)何か学芸員になるために経験してきた熱意の記録は必須だと思います。 

私は採用面接の場で、院生時代の学芸員補経験について色々質問されました。

学芸員志望の【大学生時代】

筆者のプロフィールがてら、学生時代のことについて書いています。

美術と関係のない国際系学部

大学時代は、美術と一切関係のない国際系の学部に所属していました。

自分の学部には学芸員資格課程はなかったので、他学部の授業や実習を受けて資格を取得しました。

大学卒業(=学位取得)と同時に、学芸員資格を取得しています。

「文学部系以外の学部に入ったけど、学芸員になりたくなってきた」

という人は間に合うなら他学部で取得しておきましょう。

学芸員資格自体は夏集中でも十分とれますし、難易度も高くありません。

今学芸員資格がないからと言って、そこまで焦る必要はありません(もちろん学芸員を目指すなら早く取るに越したことはないですよ)。

実際に研究室の中でも、院生になってから資格を取得している人もいました。

ここで大半の方は、「じゃあ、筆者は大学に入学してから学芸員になりたいと考え始めたわけか」と思われるのではないでしょうか。

実は私、高校生の頃から学芸員なりたいと考えてはいたのです。

では何故、文学部など美術史を学ぶことが出来る学部をあえて選ばなかったのか。

一応私なりの考えがありまして、以下の記事で触れています。

▼ あくまで私個人に合ったやり方ですが、ご参考までに。

大学選びのポイント

とにもかくにも、学部で美術をやっていなくても、学芸員にはなれます、ということです。

むしろ、学芸員でそういう人は意外と多いですよ

【語学】英語圏へ1年間の海外留学

大学生時代に1年間留学していました。これも、やっておいてよかったとしみじみ感じることのひとつです。

結果的に学芸員になるためにも役に立ったと思っています。

筆者の各テストスコアはTOEIC925点、TOEFL iBT105点(いずれも学部生時代、留学前のスコア)です。こちらの記事では、私が高校生の頃に実践していた英語学習ルーティーンやツールをまとめています。

交換留学だったので現地の学生と一緒に授業を受けていて、美術史の授業を履修していました。直接専門とは違うものもありましたが、とても面白かったです。

やる気を見せれば、授業の後研究室で詳しく話を聞かせてもらったりできました。教授も、私のノートを親身になって見てくれて、一対一で教えてくれましたね。

美術について英語で議論を重ねてとても勉強になりました。

他は、美術サークル的なものにはいっていたり、現地のアートギャラリーでボランティアさせてもらったりしていました。

普段は知り合えないような美術関連の友達も増えて、今でも連絡を取り合っています。

学芸員志望の【大学院生時代】

研究|シンポジウムと学会等の口頭発表

※研究分野によって、査読付き論文・学会の難易度はかなり変わります。

私は、査読有の論文は書いていません。

シンポジウム・学会で口頭発表の経験はあります

修士レベルであれば、「研究実績」として履歴書にかけることが何かひとつあるだけで違います。

熱心な教授であれば、主催している勉強会や発表会を持っているはず!規模が小さい場であっても必ず勉強になりますし、研究実績として書ける場合も。

大学院選びのコツ

教授あるいは研究室選びの時点で、発表の機会を与えてくれそうかは念頭に置いておいた方が良いでしょう。研究室が違うと、残せる研究実績もかなり変わります。

学芸員補のアルバイト

最初にサラッと書きましたが、美術館で学芸員補のアルバイトをしていました(2年半〜3年程度)。

学部の頃のアルバイトと比べると、学芸員さんの仕事を間近で見ることができるとても良い経験でした。

基本的には広報関連の仕事の手伝いが多かったですが、講座やイベントのお手伝い、校正など雑多に色々させてもらいました。

修論提出1ヶ月前に休学

体調を崩しました。

修論提出1ヶ月前に、発熱が数週間続き、耳が聞こえなくなり、論文が書けない状態に陥りました。

既に何度も教授のチェックを受けていて、あともうラストスパート!的な感じではあったのですが、ラストスパートかけられる体力と気力が残っていませんでした。

もう無理だ...って時に無理するともう本当にダメになるから、無理しないで休んでください...

というわけで、ここから3〜4ヶ月ほど休み、次の提出で論文を完成させました。

なので、卒業は半年程度遅れています。この延長期間中に学芸員採用試験を受けて合格しました。

学芸員採用試験については、以下の記事で詳しく解説しています。

まとめ:私が美術館学芸員になるまでを振り返ってみました

いかがでしたか? 私が実際に学芸員になるまでの道のりを振り返ってみました!

学芸員は狭き門ですし、院生活も長く孤独です。 くじけそうになることもあるでしょう。

本当に疲れた時は、いったん手を休めるのも決断です。 私は疲れちゃって休みましたけど、ちゃんと学芸員になれましたよ。

  • この記事を書いた人

りん

現役の美術館学芸員。号泣しながら大学に行ったり、病気で大学院を休学したけれど、私は元気です。学芸員を目指す人、学芸員になるか迷っている人の助けになりますように。

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