現役学芸員のりん(@rinhwan_blog)です
この記事では、美術系じゃない学部出身・途中で休学・一般就活と並行という、決してスムーズではないルートで美術館学芸員になった私の経験を、大学入学から採用まで時系列でお話しします。
「どんな人が、何をして、学芸員になれるのか」——具体的な経験談がなくて困っていた、志望者時代の自分に向けて書きました。
📝 もっと踏み込んだ話はnoteに書いています ブログには書けなかった、志望者時代のリアルな葛藤をまとめました。
▼「学芸員になるには?」の全体像は別記事にまとめているので、あわせてどうぞ。
りん について
- 正規雇用の美術館学芸員
- 公立美術館・私立美術館双方を経験
- 西洋近代美術で修士号を取得
本サイトでは、学芸員を目指していた頃の自分が知りたかったこと等を紹介しています
大学生時代|美術とは無縁の学部から、留学・資格取得まで
美美術系じゃない学部出身でも、学芸員になれた
大学は、美術とは一切関係のない国際系の学部でした。
※そもそもなぜ美術系学部を選ばなかったのか、その理由は大学選びの記事で書いています。
むしろ学芸員で、学部が美術系じゃなかった人は意外と多いです。笑
ですが、自分の学部には学芸員資格課程がなかったので、他学部の授業や実習を受けて取得。大学卒業と同時に学芸員資格を取得しています。
「自分の学部に学芸員課程がない」という人でも、他学部履修で取得できる大学は多いです。夏季集中でも取れますし、難易度もそこまで高くないので、焦りすぎなくて大丈夫ですよ。
大学院で研究にバタバタな中で資格取得は正直ちょっと負担になるので、学部生時代にとっておきたいですね。
英語圏へ1年間の海外留学
大学生時代に、英語圏へ1年間の交換留学をしていました。
これも、やっておいてよかったとしみじみ思うことのひとつです。
留学先では美術史の授業を履修して、英語で美術について議論する日々。やる気を見せると教授が一対一で丁寧に教えてくれて、とても勉強になりました。
現地の美術サークルに入ったり、アートギャラリーでボランティアをしたりもしていました。
普段は知り合えないような美術関係の友人ができて、今でも連絡を取り合っています
ちなみに私のTOEICは925点、TOEFL iBTは105点(いずれも留学前のスコア)。英語学習についてはこちらの記事にまとめています。
学芸員を意識した実務経験(学部生時代)
学部時代の美術関連の経験を並べると、こんな感じです。
| 勤務先 | 雇用形態 | 業務内容 | 応募先 |
|---|---|---|---|
| 国際美術展覧会 | サポーター | 制作補助 | 公式サイト |
| 画廊(国内) | ボランティア | 雑用、来日アーティストの通訳・同行 | 公式サイト |
| 画廊(海外) | ボランティア(留学中) | 制作補助、展覧会準備 | 飛び込み |
| 美術系編集部 | 無償インターン | Webサイト記事執筆、資料探し、文字起こし | 公式サイト |
| 美術館 | アルバイト | 受付・看視・外国人対応 | 求人サイト |
こう並べると経験豊富に見えるかもしれませんが、どれも学部生の未経験者でも応募できるものばかりです!
画廊のサイトを片っ端から見て回ったり、普通のアルバイト求人サイトで探したりしていました。
美術館バイトはリクナビ派遣などで履歴書で応募して、普通の面接を受けた感じです
▼ 美術館・博物館バイトの検索結果
👉学芸員関連のアルバイト・インターンの選び方・探し方は、こちらの記事で詳しくまとめています。
👉 学芸員補とは?大学生でもなれる?雇用形態や応募条件、応募方法を解説
大学院生時代|研究・学芸員補・そして休学
研究実績をつくる|シンポジウムと口頭発表
大学院では、修士論文の研究と並行して、シンポジウムや学会での口頭発表を経験しました(査読付き論文は書いていません)。※研究分野によって、査読付き論文・学会の難易度はかなり変わるので注意。
修士レベルであれば、「研究実績として履歴書に書けることが一つある」だけでだいぶ違います。
規模が小さい発表の場でも、研究実績に書けることがあるので、指導教員の勉強会や発表会には積極的に参加するのがおすすめです。
大学院・研究室選びの段階で、「発表の機会を与えてくれそうか」を念頭に置いておくと良いですよ。
教授あるいは研究室選びの時点で、発表の機会を与えてくれそうかは念頭に置いておいた方が良いでしょう。研究室が違うと、残せる研究実績もかなり変わります。
▼ 「研究室のコネって重要?」という方へ
学芸員補のアルバイト(院生時代)
▼ 「学芸員補って何?」という方はまずこちらからどうぞ
院生時代は、美術館で学芸員補のアルバイトをしていました。
広報関連の仕事が中心でしたが、講座・イベントのお手伝い、校正など幅広く携わらせてもらいました。学芸員さんの仕事を間近で見ることができて、学部時代のアルバイトとはまったく違う経験でした。
採用面接では、この学芸員補経験について色々と言及されました。
学芸員の採用では実務経験が重視されます。
採用の場では、すでに学芸員として働いている人と同じ枠を争うことになります。現役学芸員の実務経験にはかなわなくても、「学芸員を目指して動いてきた」という記録と熱意は絶対に必要だと思います。
修論提出1ヶ月前に、休学した
修論提出の1ヶ月前に体調を崩して、休学しています。
発熱が数週間続いて、耳が聞こえなくなって、論文を書ける状態ではなくなってしまいました。教授のチェックも何度も受けていて、あとはラストスパートをかけるだけ——という状態での出来事でした。
もう無理だ、ってときに無理するともう本当にダメになります。無理しないで休んでください…(実体験)
3〜4ヶ月休んで、次の提出期限で論文を完成させました。卒業は遅れましたが、この延長期間中に学芸員採用試験を受けて合格しています。
就活期|学芸員と一般就活、どちらにも軸足を置いた
学芸員就活と並行して、一般企業の求人も見ていました。
正直に言うと、「どっちに転んでもいいように」という気持ちがずっとあって、最後まで揺れていました。
内定まで出してもらうまで続けてしまっていたので...迷惑をかけてしまった点は反省ですね。でもそれくらいグラグラ揺れていました。そのときの本音はこちらから。
▼ 学芸員採用試験の対策についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
まとめ:休学しても、遠回りしても、学芸員になれました
学芸員は狭き門で、院生活は長くて孤独です。くじけそうになることも、正直何度もありました。
私自身、学部は美術と無関係、途中で休学、一般就活と並行——という決してスマートではないルートを経て、学芸員になることができました。
志望者時代、こういうリアルな経験談が読みたかったのに、なかなか見つからなかった。だからこそ、この記事を書きました。
志望者時代のもっと踏み込んだ話は、noteに書いています。
採用試験当日のことは、別のnoteにまとめています。筆記・小論文・面接の全容と、実際に提出した志望動機の全文を公開しています。




