美術館学芸員のりん(@rinhwan_blog)です
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美術館へのお出かけというと、
自分の服装、場違いじゃないかな?
知らないうちにマナー違反をしていたらどうしよう
等と不安に思う方も多いかもしれません。
本記事では美術館を全力で楽しんでもらうために、
- 服装・持ち物の注意点
- 基本的な鑑賞マナー
を紹介しています。
展覧会の種類や建物の構造に合わせて多少変わることもありますが、基本マナーは共通!
絶対に知っておきたい「服装と鑑賞の基本」に加えて、ドレスコード割についても触れているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
美術館での【服装マナー】
日本国内の博物館・美術館には、基本的にドレスコード(服装規定)が存在しません。
開幕前のレセプションパーティー等ではそのような決まりがあったりしますが、一般観覧でそのような制限はないのです。
とはいえ様々な方が訪れる公共施設ですから、周りの人にみられて恥ずかしくない節度を保った服装を選びましょう
入場の際に呼び止められる可能性が高い装備もありますので紹介しますね。
入場で引っかかる可能性が高い服装・装備
どれも、ふとした時に作品や他の人にぶつかってしまう恐れがあるものです。
傘は預けていても、大きめのリュック等は意外と盲点!
注意される人が多いポイントです。
貴重品のみを展示室内に持ち込めるよう、観賞用トートバックを用意しておくのがおすすめです。
入場の際には大きな荷物はロッカーやクローク(預かり所)に預けましょう!
荷物を持って長時間歩かなくて済むので自分も楽です
ヒールの靴は避ける
ヒールで美術館へ行くと本当に後悔することが多いです。
展示室内に置かれた休憩用の椅子には限りがあります。
ですが、作品をしっかり味わおうとすると90分以上かかることもザラ!
歩くだけではなく立ち止まっている時間も多いので、作品鑑賞は意外と足に疲れが溜まりやすいです。
ヒールなど疲れる靴を履いていくと、後半は作品を見るどころではなくなっちゃいます(汗)
また、美術館はとても静かで開けた場所なので、びっくりするほど靴音が響きます
床が全て絨毯というところはかなり少数!
大体硬い材質でできていて、まぁよく響くこと。
そもそも天井も高く空間自体がかなり広々しているので、わずかな音も大きく広がっていきます。
音が響くヒールを履いていくと、自分自身が気になるし他のお客さんの鑑賞を邪魔してしまいますよね。
ヒールの高さに関わらず硬い材質の靴底だと音が気になってしまうので、ゴム底のものを選ぶと安心。
数時間立ちっぱなしでも大丈夫!という、履き慣れたローファーやスニーカーが吉◎
大きな荷物は事前に預ける
前述した通り、大きな荷物は他のお客さんの邪魔になったり、ふとした瞬間に作品にぶつかってしまう恐れがあります。
※とくに背負うリュックは要注意!持ち込む場合は最低限のマナーとして前に抱えましょう
そもそも身軽な格好でいくか、展示室に入る前にロッカーやクロークで預けるのが理想!
大抵の美術館にはコインロッカー(出戻り式)や傘置き場があります。
キャリーケースなどの大きい荷物の場合は受付で相談してください。
100%預かってもらえるとは限りませんが、美術館によってはクロークのようなシステムがあります。
荷物を持って展覧会を回るのは体力的にも消耗するので、貴重品のみを持って回りましょう。
展覧会の最後に来場者限定のショップがある場合があるので、財布は必須!
展示室内では帽子を脱ぐ
展示室内では帽子を脱ぎましょう。
ついつい作品鑑賞に集中していると顔が近づいていき、帽子のつばが作品に触れちゃった!なんてことになりかねません。
帽子のつばは自分でも長さが把握しづらいので注意!
ピタッとしたニット帽であれば問題ありませんが、立体感のある帽子は他の来場者の鑑賞を妨げる可能性もあります。
展示室内では脱いでおきましょう。
アクセサリー選びには注意する
せっかくの美術館、アクセサリーでオシャレして気分を上げるのも良いでしょう。
ただし、次のようなものには配慮する必要があります。
こんなアクセサリーは避けたい
- 長さがあり、振り子のようになるもの
- ギラギラと照明を反射するもの
- ジャラジャラと音がするもの
特にネックレス類には要注意!
作品をよく見ようと顔を近づけた際に振り子のようになって、予期せず作品に当たってしまう可能性があります。
これには看視員も内心ヒヤヒヤドキドキ...
体温調節をしやすい服装にする
美術館の展示室内は、作品保護の目的で一定の温度・湿度が保たれています。
油彩画か、掛け軸か、古書類かなどでその温度は多少前後しますが、いずれにしても設定温度はやや低め。
夏場に薄着で訪れるとひんやり肌寒く感じることも多いでしょう。
館によってブランケット貸出がありますが、数にも限りがありますし近頃は感染症対策で中止していたりします。
ご自身で適宜調節できるよう、薄手のカーディガンやスカーフなどを持参するのがオススメです
派手色・白色以外だとなお良し
厳しいドレスコードは存在しませんが、ほとんどのお客さんは作品を楽しむために来ています。
スパンコールでギラギラしていたりヴィヴィッドカラーで眩しい服装などは、周りから浮くだけでなく鑑賞の妨げになる場合もあります。
基本的には落ち着いた服装の方が美術館の雰囲気にはマッチしますよ。
ちなみに半分余談ですが、あまりに真っ白な服もできれば避けた方が良いです。
ガラスケースにくっきりと映るので妙に気になるんです、自分自身が。(反射が気にならない高級ガラスを使っている館は稀)
個人的には黒色など濃い色でまとめたシックな装いがオススメです
香水は控える
匂いで具合が悪くなる人は多いですから、基本的に香水はつけない方が好ましいです。
展示室には基本的に窓がないので香りはどうしてもこもりがち。※換気システムはあります
大きな展覧会であればあるほど人混みで空気が淀みやすいので要注意!
【info】ドレスコード割がある館もある
展覧会をチェックする際には、ドレスコード割の有無も頭の隅に入れておきましょう。
例としては、
着物で来館すると200円割引
ゴッホ展に青×黄コーデで来館すると特別グッズプレゼント
などです。
日本美術の美術館だと、きもの割があることも。
知っていたらスマートですし、自分自身も展覧会に没入できてオススメです♪
ルールや割引の有無にかかわらず、常識の範囲内で作品へのオマージュを含んだコーディネートなど展覧会の雰囲気にマッチさせると楽しい♪
美術館での【鑑賞マナー】
作品と展示ケースには触らない
基本中の基本!作品には絶対に触らない!
手の皮脂や汚れは、作品を変色させ劣化させる原因になります。
また、作品だけではなく展示台や展示ケースも作品の一部です
額縁も画家がこだわって見繕ったものだったりします。自分で手を加えている画家もいるくらいです。
額縁や台座などにも敬意を払い、作品の一部であることを心に留めておきましょう。
展示ケースが白っぽく汚れているのを見たことありませんか?
作品には触らない!が常識でも、真剣に見入ってるうちにおでこをガラスケースにぶつけちゃう人が結構いるんです。
夢中になってもらえるのは学芸員としても嬉しいですが、作品との距離感にも気をつけてくださいね。
話す際には周りの人への配慮を忘れない
美術館=話しちゃいけない!
というルールはありません。静かにポツポツ話す程度ならOK。
友人と美術館に来たら、「この絵のこんなところが好き!」「あの絵とこの絵って似てる!」なんて話しながら回りたいですよね。
それも鑑賞のあるべき姿のひとつ。
1番大切なのは、自分の話し声が他の人たちの鑑賞を妨げないことです
静かに鑑賞したい人もいます。
すぐ近くに真剣に見入る人がいるなら会話を控えたり、人から視線を感じたら声のボリュームを下げたり、そういった配慮を忘れないようにしましょう。
撮影禁止が基本
展示室内は「撮影禁止」が基本と考えましょう
撮影できるコーナーや特定の作品がある場合には適宜「撮影OK」と書いてあります。
心配な場合は周りの看視員に聞いてみてください。
展示室内は飲食NG
展示室内は基本的に飲食NG、カップのドリンクを手に持って入るなども当然ダメです。
ガムや飴、キャップ付きのペットボトルなどもNGなので注意。
私も水を飲めないと具合が悪くなることが多いので気持ちがわかります
使用できる筆記用具は鉛筆のみ
気になった作品解説などをメモしたいこともあるでしょう。
メモする行為自体はOKですが、使うことが許されているのは基本的に鉛筆のみです
ボールペンやインクのペンは万が一にでも作品に付着した場合、鉛筆よりも修復が困難です。
また、シャープペンシルの芯は細く折れやすく、うっかり作品へ飛んでいってしまう可能性があり危険。
なお、展示室入口や美術館受付で配布している作品リストを貰うとメモを取りやすいのでオススメです。
鉛筆を忘れてしまった場合には借りることもできますので、お気軽にお声がけください!
【チェックリスト】美術館での基本マナーと服装
以上、美術館に行く際のマナーを紹介しました。
美術館ファッションを選ぶ際には、以下の点に気をつけましょう
また、展覧会を楽しむために以下のマナーを守りましょう
マナーは作品や他の人のためだけではなく、自分が楽しむためにあるもの。
ルールは抑えながら、体調不良納采には無理に我慢せず、周りのスタッフに声をかけましょう。
ぜひ展覧会をたくさん観にいってくださいね!
自宅で出来る美術鑑賞のススメ
映画や書籍で予習してから行くと、展覧会の面白さはぐ〜んと上がります。
美術館の開館時間に訪問できない、今は実際に足を運ぶ時間がない、という方はまず映像や図版で触れてみるのもオススメです♪
美術館学芸員である私が大好きな映画と本をまとめています